07短編 | ナノ


▼ 04

「……何故だ?」

アヤナミ君は私の手を離さず、そう言った。
え、何故だ、って、何で好きなのか、って事なのかな。

「ず、ずっと見てたから…」

ずっと見ていた?
という事は、私が入念に周りを確認してから買い食いしていたのも知っている?
チッ。
これがバレるとまずい…。

「いつからだ?」

いつから?
入学して1ヶ月してから。
でも、2年以上も見てたなんて気持ち悪いよね!??
引かれちゃう!!

「内緒」

ふっ、と微笑みながら。
こいつ…。
だが、これは最初から見られていたという事だろう。
この私が気付かないとは…。

「……」

アヤナミ君は黙ってしまった。
ああ、どうしよう。
何か言わないと。
……アレ、聞く?
聞いちゃう?
どうしよう拒絶されたら!!
いや、でももうここまで来たんだから。
女は度胸!!

「アヤナミ君は、どう思ってるの?」

……どう、か。
勿論悪い事だと自覚している。
校則を破ったのだから。
そして、お前にこれから何か条件を出されるのだろうとも思っている。

「……悪い事だと思う。が、お前と同じ事を考えている」

悪い事?
生徒会長が恋だ彼女だなんて言う事が?
アヤナミ君は人一倍まじめだからそう思うのかな。
でも、私と同じ?
アヤナミ君も私の事…!?

「悪い事なんて、そんな、人間誰でも完璧じゃないんだから…」

くっ…!!
人間誰でも完璧ではないから私の買い食いがななしに見つかった事も仕方ない、と?
随分と舐められたものだな。
油断しただけだ、本気を出せば…参謀長官の私ならななしなら気付くというのに!!

「……何をすればいい」

へ?
何を?
も、もしかしてアヤナミ君、女の子と付き合うの初めてなのかな!?
モテてるけど、彼女がいるなんて噂聞いたことないし…。
私が初めての彼女!?

「放課後、買い物行ったり、とか?」

……私に荷物持ちをしろと?
しかも、『行ったり、とか?』という事はまだあるいうこ意味か。
いいさ。
買い食いが隠せるのならば何でもしてやろう。

「何でもしよう。今はそれだけか?」

なんか、ドライっ!!
いやでも初めてなんだから緊張してるのかも!?
え、ほんとに初めてなの?

「アヤナミ君って、初めて?」

買い食いの事か?
何度もしていると勘違いされても困るな。

「ああ」

ほ、ほんとに初めてなんだ!!
私でさえ2人くらいいるのに!!
じゃあ、私がリードしなきゃなのかな!?

「そ、そっかぁ…」

何だその態度は。
何度もしているように見えたか?
ヒュウガではあるまいし…。

「今日行くのか?」

あ、デートの事かな?
まあ善は急げ、だよね。

「うん」

生徒会の仕事があるな…。
だが、弱みを握られている以上逆らう訳にはいかない。

「生徒会の仕事がある。急いで終わらせるから少し待っていてくれ」

やだ、アヤナミ君。
私の為に仕事を急いで?

「いいよ。待ってるからゆっくりでも」

心理作戦か…!
ななしの事は入学して1ヶ月の時から知っているが、まさかそんな事まで出来たとは…。

「ああ。では放課後」

教室に戻ろうと歩き始めた時、アヤナミ君に強く腕を引かれた。
バランスを崩してアヤナミ君に抱き止められる。
にゃ、にゃぁぁああああああ!!
れ、冷静に!!
落ち着けななし!!

「どうしたの?アヤナミ君」

危なかった。
いい忘れる所だった。

「……誰にも言うなよ?」










でもきっとハッピーエンド
(リードしなきゃリードしなきゃリードしなきゃ)
(アヤナミ君!!あっち行こう!!)
(弱みを握られている…)
(お前とならどこへでも行こう)










→おまけ

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