07短編 | ナノ


▼ 03

…何故だ。
私は人気のない場所を探しながら、クラスメイトのななしの手を引いて歩く。
脳内で繰り返されるのは先程のななしの言葉。
正確には言葉ではなく口パクだが。

『(か、い、ぐ、い)』

確かに昨日、生徒会の仕事が長引き帰りにヒュウガにつられて買い食いした。
買い食いは校則違反で、本来生徒の手本となるべき生徒会長である私が最もしてはいけない行為だ。
だからこそ周りへの警戒は怠らなかったはずだ。
誰にも見られていない確信があった。
しかし、見られてしまっていたようだ。

ななしは口パクで買い食いと呟いた後ニヤリと笑った。
黙っていて欲しかったら……とかそういう事か?

そして着いたのは校舎裏の、『生徒を自然に触れさせる為』という名目で手付かずの木が生い茂る場所。
ここなら誰も来ないだろう。

ななしが逃げないよう手を掴んだまま向き合う。
そして、交渉を始める事にした。










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