徳ヱ門が三年生になった頃、当時用具委員長に就任した六年生が奇行に走った。当時は会計委員会がお飾り委員会という名の無能さを披露していたので、委員会は予算が使いたい放題。用具委員長はその筆頭で、予算をまるで湯水のように使っていた。――そして、予算を使って購入した武器の数々を・・・その当時用具委員だった徳ヱ門へと譲り渡したのである。

 勿論、徳ヱ門は受け取れないと首を振った。しかし、物欲と衝動買いに囲まれていた用具委員長は止まらなかった。徳ヱ門を溺愛するばかり、その形が予算を使った武器という形で徳ヱ門の周りに溢れた。後にこの暴走は、当時の委員会予算で最大の無駄遣いと称される事となる。


 当時の用具委員長に気に入られる徳ヱ門を気に食わないと言わんばかりに睨みつけていたのが、現用具委員長となる、彼の一つ上の先輩だった。彼と徳ヱ門は一年、二年生の頃から仲が悪かった。上級生に気に入られる徳ヱ門が嫌でたまらなくなり、用具倉庫に閉じ込めた時さえあった。そんな徳ヱ門を助けたのが、当時の用具委員が風邪で不在の為、偶々用具倉庫を訪れた組の異なる二年生・浜 仁ノ助である。
 見つからないと思われていた徳ヱ門を、ごく自然に見つけ出した仁ノ助。それだけで、徳ヱ門は救われた気がした。


 徳ヱ門は一年生の頃から影の薄い生徒だと言われていた。上級生に好かれる余りに苛めに遭い、自分の容姿に強いコンプレックスを抱くようになってしまったのだ。己の目を覆い隠すような長い前髪は、当時の名残とも言える。
 仁ノ助との出会いは、それをより明確にした。仁ノ助の持つ鋭い目や、行動力は徳ヱ門にないものばかりだったのだ。――そんな彼に憧れて、彼の持つ強さを持ちたくて。徳ヱ門は己を鍛える事にした。自分には優秀な頭脳がないと理解していた徳ヱ門は、主に武道に力を入れた。身体的技術は勿論の事、用具委員長の負の財産と呼ばれた大量の武器の数々を使い熟すまでに至った。結果、徳ヱ門は学年でも有名な武道派として知られる事となる。


 けれど、そんな徳ヱ門の行動は忍者として致命的だと後に徳ヱ門は告げられた。
 忍者として理想の体型は、中肉中背。がっしりと付いた筋肉に、教師陣も仁ノ助もあまり良い顔をしなかった。


 仁ノ助の目指す忍者からは遠ざかってしまったのだと、徳ヱ門は後悔した――。

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