<田村と御園と、潮江に代わる誰か>※IF、年齢操作なし、入れ替わりネタ 田村が潮江の紹介もあって、御園の店に向かう。どうしてかっていうと、筆おろし的な意味もあるし、潮江が自分が卒業した後の田村の事を考えたっていうのもある。(五年生時代の時に潮江は苦労したから) 学園における会計委員長(代理)というのは孤独なものなので、上の苦労は上になってからしか分からない。その時に、嘗ての委員長の御園の存在を知っていれば自分みたいに追い詰める事はない、という判断。(他の三人には相談できなかった、とも言うw) 「潮江先輩・・・、どうして僕をあの店に・・・・・・」 「俺がいなくなれば、お前が自分からあの店に行く事はなくなると思ってな」 俺がいなくなれば。その事に、少し寂しさを感じる田村。 しかし、学園に戻ったその次の日。潮江は消える。会計委員長の席にいるのは、成績優秀で後輩も思いやる、絵に描いたような出来すぎた先輩。 徹夜はしなくていい、出来ないところは無理しない、鍛錬なんて以ての外。潮江とは正反対に位置する後輩の接し方。 その先輩こそが、潮江との入れ替わりを望んだ人。二次創作で、田村がヒロインのように扱われる作品ばかりを見てきた所為もあり、いつからか“潮江は田村にとって害悪”と思い込むようになっていた。トリップしたついでに、潮江のポジションに入れ替わる事に成功する。 周囲はその事に気付かない。田村だけが、これで良いのかと言葉に出来ない違和感を感じる。そんな中、田村は“誰か”から紹介された「花街」の事を思い出す。田村は先輩に内緒で、己の記憶を頼りにその花街へと向かう。 そこで御園と再会する田村。不安を隠しきれぬ様子に、御園は田村の話を聞くことに。 この店を紹介してくれたのおは、・・・××先輩。今の先輩ではない。・・・そう、御園がまだ在学していた頃に、仕事を教えてくれた・・・・・・。 「・・・・・・しおえ、せんぱい・・・?」 「ん?“しおえ”って・・・潮江文次郎の事か?」 「!?」 記憶を取り戻す田村。御園にも“彼”の記憶があるのかと問い詰めるが、違った。 御園の記憶にある潮江文次郎は、学園の生徒でもなければ御園の後輩でもなかったのだから。(ツチノコ城忍者隊に拾われた子) 「・・・会わせて頂けませんか。赤の他人だったとしても、会って確かめたいんです。」 「・・・・・・。」 答えを渋る御園。考える時間が欲しいという事で、その日は帰される。 田村が学園に戻ると、学園は騒然としていた。田村がいない事で、先輩がヒステリーを起こしていたので。 「三木!三木ヱ門は何処にいったの?!アンタ、何か知ってるの?!」 「お、おい落ち着けって・・・」 「あの子がどこの誰とも知れない奴に襲われたらどうするのよ!どう責任を取るつもり?!」 「田村も四年生なんだぞ。そんなに過保護にならなくても・・・」 「駄目よ!あの子は私が守らなくちゃ!老け顔の隈男みたいな奴の手に落ちないように!」 老け顔の隈男。その言葉に、確信する田村。 先輩は、潮江の事を知っている。 「先輩!それって、潮江先輩の事ですよね!?」 「・・・ぁ、三木・・・」 「知っているんですよね?!潮江文次郎先輩の事!」 「・・・潮江、」 「文次郎・・・?」 田村が名前を呼んだ事で、他の六年生にも潮江の事が思い出される。 四年生の田村はそこまで気が回らなかったが、潮江のポジションにいる彼女が何か握っていると察した。 「お前!私たちに何をした!?」 「いや、そんな事はどうでもいい。潮江文次郎を何処にやった!」 責め立てられる先輩。色々と補正があった事もあってちやほやされていただけに、彼女は簡単に切れる。 「何よ!何よ何よ何よ!そんなに彼奴の事が大切な訳?!彼奴がいなくなって、あんなに楽しそうにしてた癖に!」 「・・・何の話だ。」 「望むだけの予算をあげた!何も壊さなかった!喧嘩もしなかったし、後輩たちが嫌がった事もせずに優しくしてあげたわ!何が不満だっていうの?!」 己の思い込みから、既に“アンチ潮江”になりかけていた彼女の思いが打ち明かされていく。それまでのギャップに、呆然とする田村。 「認めるんだな。お前が奴を消したと・・・」 「何よ、証拠でもあるっていうの?ある訳ないわ。あったとしても、ここは私の場所なのよ。アンタたちがどんなに言い広めたって、それは妄想でしかないの!」 「っ、テメェっ!」 「止めて下さい、先輩!」 「・・・田村。」 「ねぇ、三木。よぉく考えて。楽しかったでしょ?私で良かったでしょ?どっちの先輩がいい?」 「・・・・・・。」 答えられない田村。だって、確かに彼女が先輩としていた頃はずっと楽で楽しくて、拒絶する事なんて出来ない。 けれど数日後。田村は御園の計らいで、潮江と会う事になる。 というのも、潮江は学園に戻って来ないように補正で記憶を失っていたので、出生を探る目的もあったという裏設定。 「・・・しおえ、先輩・・・」 「あの・・・、俺を・・・知っているんですか・・・?」 「・・・はい。ご無事で、良かった・・・!」 それまで朧げだった“潮江文次郎”という存在が、ここに来て明確になる。死んでいるかもしれない、と思っていただけに、会えた事が嬉しくて仕方ない。 「ずっと・・・怖かった・・・!貴方がもう、いないんじゃないかって・・・全てが自分の妄想だって言われても・・・諦め切れなくて」 「えっと・・・・・・田村、さん?」 「“さん”は要らないです。敬語も止めて下さい。貴方は、僕の憧れの先輩なんですから・・・!」 けれど、結局潮江の記憶は戻らず。それでもいい、田村は思い出したから。 学園に戻った田村は、彼女と話をする。自分が何を求めて学園に入ったか、どうして潮江がいない事に違和感を感じたから。彼なりの言葉で。 けれど、それは彼女の求めていた言葉ではなかった。自分が拒絶されたと思い込み、大切にしていた筈の田村までもを拒絶する事になる。 「・・・うそ、うそよ・・・。そんなのウソ・・・」 「これでも、貴方には感謝しているんです。あの人の大切さを思い出させてくれたから。」 「そんなの嘘よっ!アンタは三木の偽物ね!返しなさいっ、今すぐに!」 ヒステリーに陥り、田村の首を絞める。けれど、彼女はあくまで(自分なりに)田村を守ろうとしてここに来た。田村を傷付ける事は、ここでの彼女自信の存在意義をないものとする行為。 結果的に彼女はいなくなり、潮江や周囲の記憶も元通りになる。ただ、田村だけが彼女との出会いと、そこで感じた事を覚えている。 prev next 戻 gift main mix sub CP TOP |