<潮江が浜と会っていなかったらP>※IF、年齢操作なし、潮江の性格変更有り

 下級生の頃から、立花仙蔵は何かと孤立しがちな忍たまだった。成績優秀・文武両道・容姿端麗。見た目も中身も文句の付けようのない完璧さ。それは周囲に憧れと羨ましさと、恐怖を妬みを植え付けた。
 その中で、潮江文次郎はそれらに屈する事なく、仙蔵の隣に居続けた唯一の存在だったのだ。先輩でも、後輩でも、教師でもない、同輩の同級。何で劣っても、文次郎は仙蔵の傍を離れなかった。

 だからこそ、“この”文次郎を目の当たりにした時には落胆したものだ。
 あぁ、お前も「そちら側」なのか、と。

 けれど、それだけではなかった。何よりも、“自分”が他者と接する事を拒んでいたのだ。

「・・・まったく、“此方”の私は随分と損をしているようだ。天才の名にかまけて、・・・これでは見限られても仕方ないな。」
「・・・・・・そんな事、ない・・・。」
「文次郎・・・?」
「俺は、立花が才能だけの天才じゃないと思う。ちゃんと努力してる、だから天才なんだ。」

『才能だけで忍者になれる筈がないだろう。お前が学年一と言われるのは、それだけお前が努力したという事だ。』

 言葉は違えど、文次郎の言葉には聞き覚えがあった。
 才能がないと言われていた文次郎は、才能に甘えない。だからこそ、天才の名に消えてしまうような仙蔵の努力を見逃さなかった。

「(・・・何だ、“そこ”にずっと居るのか・・・、お前は・・・。)」
「・・・立花?」

 文次郎は恐らく、仙蔵の心中を分かっていない。気まぐれに自分を助けて、その事で怪我をした事に落ち込んでいるとでも思っているのだろう。

「文次郎、一つ言わせてくれ・・・。こんな事、“普段”のお前には言えないが・・・言わせてくれ。」
「・・・・・・?」
「私はお前が隣にいて欲しい。出来る事なら、お前が隣に来て欲しいんだ。」

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