<潮江が浜と会っていなかったらN>※IF、年齢操作なし、潮江の性格変更有り

 仙蔵がその話を聞いたのは、ほんの偶然だった。
 “ここ”では、さして縁のない筈の、一年は組の加藤団蔵と、文次郎との話。

「潮江先輩は、潮江先輩が一年生の頃の会計委員会をご存知ですか?」
「どうしたんだ、急に。」
「いえ、実は宿題が出て・・・。『六年生が一年生の頃の六年生』についてのレポートを纏めるように、と。それで、僕は会計委員会の委員長をお聞きしようと思ったのですが・・・。田村先輩は四年生ですので・・・。」
「そうか。・・・でも、俺はずっと生物委員会にいたからなぁ。会計委員長とは会った事がないな。」

 嘗ての会計委員会を知らない。
 よもや、潮江文次郎の口からこんな言葉を聞く日が来ようとは思ってもいなかった。
 そして、確信する。

『文次郎、お前。会計委員会に入ったのか?』
『あぁ、委員長が素晴らしい方でな!俺はあの人に付いて行くと決めた!』

 忍術学園の委員会に所属しているのならば、その生徒の特色や性格は大なり小なり、各委員会の委員長を擬えるものだ。
 分かり易い例で言えば、善法寺伊作の「忍者に向いていない」と言われる優しさは、彼が一年生の頃の保健委員長譲りのものであるし、七松小平太の「細かい事は気にしない」という奔放さは、一年生の頃の五年生・体育委員長代理から学んだものだ。

 思えば、潮江文次郎はその最たるものだったろう。
 鉄粉お握りという発想も、冷たい物を鍛錬と称する猫舌も、頭に苦無という意気込みも。彼が常日頃心掛けている正心さえも、嘗ての先輩・会計委員会譲りのものだったのだ。

「それにしても、団蔵。どうして、会計委員会の事を俺に聞こうと思ったんだ?六年生なら、他にもいるだろう。」
「・・・あれ?・・・うーん、何となく・・・潮江先輩なら知ってる気がしたんですけど・・・、何ででしょう・・・?」

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