<潮江が浜と会っていなかったらB>※IF、年齢操作なし、潮江の性格変更有り

 小平太の他にも、皆が皆似通った理由で仙蔵の元へ集まって来るもので。仙蔵はこれが異常事態である事を漸く悟った。
 とりあえず、第一に思った事を仙蔵は皆に告げる事にする。

「どうして、それを私に聞く。文次郎本人に聞けばいいだろう。」
「や、だって。文次郎見つからないし。」
「会計室にもいないし。」
「・・・生物小屋にもいなかった。」
「一応、安藤先生と木下先生にも確認したんだけどな。やっぱ文次郎が生物委員長だって。」
「言っておくが、それは私も初耳だ。文次郎が所属委員会を変えた等と。」

 そう言うと、四人は一斉にして「はぁ」と胸をなで下ろす。彼らの動作は、まるで安堵しているようだった。

「・・・何をほっとしている。」
「いや、安心したんだよ。少なくとも、これが記憶違いじゃないって事が証明されたから。」
「これで仙蔵にまで「そうだ」と言われたらなぁ〜!」
「・・・・・・「何を今更に」と、皆が表情で言って来る。」
「先生たちからの視線もきつかった、いや本当に。」

 最上級生たる自分たちが揃いも揃って記憶違いを起こしている。そんな哀れみ混じりの視線は、相当のものだったらしい。仙蔵は慰めの言葉が思い浮かばなかった。
 尤も、問題視すべき事はそこではなく、「潮江文次郎が生物委員会の委員長」であると皆が思い込んでいるという事だ。それも、話を聞くに彼はこれまでの六年間。付きっ切りで生物委員会に所属していたという。

 自分たちの記憶にある『会計委員長の潮江文次郎』と、一致しない。

「・・・それでは、何か?ここにいる五人全員が、文次郎の委員会を会計委員会と間違えていたと?」
「流石にないだろ、と、言いたいが・・・・・・」
「俺たち以外の全生徒、果ては教師陣までもが文次郎が生物委員長だと言っている。これも事実だ。」
「やっぱり、文次郎に問い質した方がいいとは思うんだけど・・・。その文次郎が見つからなくてさ。」
「仙蔵。お前、文次郎の同室だろ?何か知らないのか?」

「え?」

「いや、「え?」って。仙蔵?」
「お前と文次郎、長屋・・・同室だったろう?」
「・・・ぁ、ぁあ、そう、だな。・・・だが、・・・知らないな。」
「・・・おい、仙蔵・・・?」
「(いや、まさか・・・。有り得ない・・・!)」

 思い当たってしまったある事実に、仙蔵は絶句する。どうして自分はこんな事を忘れて、いや頭の隅に追いやっていたのだろうか。
 仙蔵と長屋が同室である筈の文次郎。けれど、ここ最近の仙蔵は長屋で文次郎と顔を合わせた記憶がなかった。

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