<浜 仁ノ助の趣味>※年齢操作(六年→一年)

「・・・そういえば、最近甘いもの食べてないです。」
「鉄粉お握りじゃだめー?」
「だめー?」
「鉄粉は甘くねぇだろ。」
「食べてないと欲しくなりますよねぇ。」
「・・・・・・・・・。」

 浜 仁ノ助。図書館のレシピ本を参考に、初の甘味作りに挑戦中。

「・・・・・・(餡の練りが足りなかったか。)誠八郎、食べないか。」
「お、いいのか?何か最近お前菓子作りに精出してるな。(手作り・・・!仁ノ助の手作り・・・!)」
「満足いく出来にならん。」
「・・・相変わらずの完璧主義者め。(充分に旨いと思うけどな。コイツ、忍者じゃなくて菓子作り職人になる気か?)――少ない量で作るから失敗するんじゃないのか?大量にどーんと作ってみたらどうだ。」
「その大量に作った分はどうするというのだ。俺が作ったものを喰らうなど、お前か委員会の者しかおらん。」
「そうだな、食堂に置いて貰うとか?おばちゃんにお願いして、作った名前を伏せて貰ってさ。食堂のメニューにデザートが付くなんて珍しいから感想も貰えるだろうし、次回作の参考にもなるだろ?」
「・・・・・・・・・。」


 時は流れて、五年後。

「えぇ?!先輩たちが一年生の頃って、食堂のメニューにデザートの甘味が付いてたんですか?!」
「いいなぁー!俺もう一年早く入学したかった!」
「俺は甘味よりも豆腐がついてくれたら嬉しいのだ。」

「豆腐小僧は放っておくとして。・・・付いていたと言っても、ほんの数週間の事だ。確かに美味かったがな。」
「あの甘味って、結局誰が作ってたのか・・・分かってないんだよねぇ。」
「・・・食堂のおばちゃんは、自分じゃないと言っていた。」
「あれ美味かったよなー!パタリと出なくなって、皆で団子屋さんとか探してたんだけど見つからなかった!」
「味が段違いだったからな。・・・そう言えば、文次郎。お前、委員会帰りにお土産として貰って来た事がなかったか?」
「っ!」
「何!初耳だぞ、文次郎!」
「潮江先輩!どこのお店なんですか?!俺も食べたいでーす!」
「・・・いや、悪い。俺も知らん。委員会で貰った先輩のお土産を仙蔵にお裾分けしただけだから。」
「チ、使えん奴め。」


「(言えない・・・。当時、学園で一番の嫌われ者と言われていた仁先輩が作っていたなんて・・・言えない。)」

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