<蓬川兄弟の将棋?>※年齢操作(六年→四年)

 六年長屋の外れに設けられた蓬川兄弟の部屋には、将棋盤がある。但し、二人はまっとうな将棋をした事が一度もない。曰く「「つまらないし、意味分からない。」」――独特の世界を持ちつつ、現実を見ていない訳ではない彼らには将棋という物の方が理解出来ないという。

「だって、おかしくない?」
「お互いが全く同じ勢力を持ってるなんて。有り得ない。人員不足とか、馬の調子が宜しくないとか。想定するべき。」
「将棋盤も真っ平らだしさ、地形とかも分かんないでしょ?」
「罠が仕掛けられてるとかもないしさ。」

「・・・何も、将棋にそこまで追求しなくても。」

「だから、僕ら障害物とか置いて立体的な感じで遊んでるんだ!」
「五つくらいまでなら、注意事項を付け加えてもいいし!」
「注意事項?」
「こーたの陣は人員(歩兵)が少ないけど、罠が多いとか。」
「おーたの陣は人員(歩兵)が多いけど、馬(桂馬)の調子が悪いとか。」
「相手に隠す注意事項も三つくらいあって、例えばおーたの王将は実は影武者だったとか。」
「実はこーたの陣の駒には裏切り者がいるとか。」

 そこまで来たら、もう遊戯を超えていると思うのは野暮だろうか。
 ・・・だが、現実でない限りはこの二人にとっては遊戯に過ぎないのかもしれない。


「――で、崩し将棋ならぬ“崩れ将棋”を纏めた結果が・・・この兵法書並みのレポートか。」
「あぁ。五年の頃にこれを教師に提出して、ある程度の座学は免除されたらしい。」
「相当だな。授業を免除させるとは・・・」
「ま、半分くらいは「出ないで下さい」という願望もあったのかもしれんが。」
「因みに、その“崩れ将棋”。どちらが強いのだ?」
「レポートの戦績は、五勝五敗五百五十五引き分けだな(殆どが、俺や林先輩が中断させたんだけど・・・。徳先輩に似て、飯の時間を忘れるくらいにのめり込む人たちだからなぁ。)」
「文次郎も出来るのか?」
「出来るっちゃ出来るけど、俺は完敗だ。絶対有利な条件つけて貰って、あの双子に勝てた試しがない。やっぱ、すげぇな。あの二人は・・・!」
「フン。あの双子なんぞに毒されおって・・・!」
「何だ、仙蔵は読まないのか?後で長次に貸して欲しいって言われてるんだが。」
「・・・読む。」

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