<蓬川兄弟がやって来た>※IF、年齢操作なし

 卒業して早二年。フリーで各地を転々としていた筈の蓬川兄弟が学園にやって来る。
 その姿を見た途端、上級生一同は揃って「げ」の形で口が固まってしまう。

「「やっほー。来ちゃったよー。」」
「ぎゃああ!」
「出たぁ!」
「せ、生物委員会!今すぐ全員集合!毒虫と菜園を守るぞ!」
「保健委員会も!薬草園を守らないと!」
「ど、どうしたんですか、竹谷先輩に善法寺先輩!あの二人って卒業生・・・つまり、忍たまOBなんでしょう?!」

 正門の近くで上級生たちがあたふたとしていると、準備を済ませた潮江 文次郎がそこへ現れた。
 彼の姿は制服ではなく私服で、今から出掛けるのだろうというのが人目で分かる。

「さっきから何なんだ、この騒ぎ。・・・まぁ、学園でトラブルも珍しくはねぇが・・・」

「も、文次郎!いい所に!」
「お前、今日の予定は!?」
「・・・いや、これから任務に行くんだが・・・・・・ぁ。お久しぶりです。」
「「来ちゃったよー。って、出掛けるの?」」
「文次郎!任務は代わりに私が行ってやろう!だから、あの双子の相手をしていろ!」
「ぇ、ぃ、いや俺が受けた任務だし・・・」
「いいから!何なら僕らからも先生たちには言っとくから!」
「お前がいない学園で、にあの双子と一緒にいたくねぇ!」



<御園先輩がやって来た>※IF、年齢操作なし

 卒業して早三年。花街の店主となった御園 林蔵が学園へとやって来る。
 “何故か”女装姿で潮江 文次郎と待ち合わせた為に、学園ではあらぬ噂が流れたのは言うまでもない。

「・・・なにも女装して来なくてもいいでしょう。恋人ですかって、一年生に言われましたよ。」
「んなもん勝手に言わせとけって。人の噂も七十五日だろう?」
「貴方の流す噂が濃すぎるんですよ。尾鰭どころか背鰭と胸鰭まで付くんですから・・・。」
「そんな事より、俺はお前に言いたい事がある。」
「・・・・・・何ですか。」
「何だ、その隈はー!!」
「・・・・・・(来ると思った)」
「三年生の頃はもうちょっと薄かっただろ!いや、あの頃から夜中の鍛錬は止めろと何度も言った!今は六年生だからって、この濃すぎる隈はない!ないぞ、文次郎!あの双子か!俺があの双子を粛清できなかったから、お前に苦労が全部回っちまってそうなったのか!?」
「せ、先輩。落ち着いて・・・!」
「それとも、お前の同輩か!お前なんか同輩にも苦労してたよな!?双子とは仲悪そうだったし、絶対に苦労してるよな?!ナルシストな美麗と、無鉄砲な野獣と、無口なお茶目と、とにかく不運な奴と、やたら喧嘩っ早い奴!」

「・・・何故だろう。今、物凄く貶された気がする。」
「同感。」

「こうなったら、手土産の菓子を肴に!アイツ等の黒歴史を下級生たちに暴露してやろう!お前の隈の仇討ちだ!」
「何ですか、隈の仇討ちって・・・・・・。」
「そこの通りすがりの下級生ども!中在家と善法寺が俺の一つ下の双子の生徒に薬学クイズで負けた話か、七松と食満が俺の一つ上の先輩にお手玉にされた話か、立花が女装した俺に惚れ込んだ話か!どれが聞きたい?!今なら綺麗で旨い菓子と一緒に聞かせてやろう!」
「「「全部です!」」」
「止めて下さい!!」×5
「・・・ちゃっかり屋根裏に潜んで聞き耳立ててんじゃねぇよ、お前ら。」



<小田先輩がやって来た>※IF、年齢操作なし

 卒業より早四年。『地獄の会計委員会』二代目委員長、小田 徳ヱ門が学園にやって来たものの、生憎と文次郎は授業で学園に不在。白羽の矢を立てられたのが、まさかの食満 留三郎だった。

「近くに来ましたんで、つい。」
「つい、じゃねぇだろ!学園は“つい”で来られるような場所にねぇよ!」
「文次郎は不在だそうですね。残念ですが、授業ならば仕方ないですよね。」
「聞けよ!何しに来たんだ、アンタは・・・!」

 普段から鋭い目から血走る火花。けれど、相手の徳ヱ門は実にケロッとした様子で出された茶を啜っている。
 あまりにも対称的な態度に、様子を伺っていた用具委員会の面々は呆然とするしかない。

「・・・食満先輩が、目上の方にタメ口だ・・・・・・。」
「はにゃー。あの人、忍たまOB・・・つまり、食満先輩の先輩ですよね・・・?」
「あんなに怖い食満先輩、はじめて見たかも・・・。」
「もしかして、あの人って忍たまOBの皮被った学園への侵入者だったりするんじゃ・・・!あわわ・・・!」

 覗き見する下級生を咎める事なく、微笑ましく思っていた徳ヱ門であったが。流石に富松 作兵衛の妄想癖には「カチン☆」と来たらしい。不意に、彼の纏う空気が変わる。

「可愛らしい下級生ですね。どれ、ちょっとお手玉にして差し上げましょうか。」
「それだけは止めろぉ!!」



<浜先輩がやって来た>※IF、年齢操作なし

 卒業から五年。初代『地獄の会計委員会』委員長、浜 仁ノ助がやって来た。その纏う空気は常に張り詰めていて、彼の相手をする文次郎も何処か緊張しているようだった。

「・・・文次郎。今年の予算会議は終わったそうだな。」
「は、はいっ」
「何があったかは既に知っている。良くやったと褒めておこう。」
「・・・ぁ、有難う、御座います。」
「だが、手緩い。」
「っ」
「体育委員会の予算はゼロではなくマイナスだ。火薬委員会も、甘酒代はマイナスとして来年の予算案を訂正しろ。生物委員会は場所も私用で使っている事になるのだから、予算は半減ではなく三分の一・・・いや、四分の一だ。作法委員会が作法の道具を管理するというのならば、その分は用具委員会の予算を・・・」

「――・・・ぉい、ほぼ全ての予算案が塗り替えられてるぞ・・・。」
「か、火薬委員会の予算がマイナス・・・?!」
「潮江先輩が一方的に押されてますよ・・・。威圧感が向けられてないこっちにも来てるんですが・・・」
「とゆーか、あの人が卒業したのって五年前ですよね・・・?何で今年の予算会議の内情知ってんですか・・・。」
「色々と怖ぇ、あの人・・・。」

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