<中在家と浜>※年齢操作(六年→一年)

 昼時の図書当番だった長次の所に、滅多に図書室を利用しない浜 仁ノ助がやって来た。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・(前に、文次郎の事で会計室に押し入って来た一年生の一人か・・・。)」
「・・・・・・(あまり、見ない六年生・・・・・・。文次郎に、似てる・・・?)」※既に↑の時の事を疎覚え。

「・・・この本を借りたいのだが。」
「・・・ぁ、はい。(凄く難しいって図書委員長が言ってた兵法の本だ・・・。)返却期限は守って下さい。」
「分かっている。・・・・・・できた後輩を持っているな、図書委員会は。」
「?」

 その日の委員会活動。
「え、あの浜が来たの?!彼って滅多に図書室に来ないのに・・・」
「・・・先輩が難しい、って言ってた本を借りて行きました。」
「・・・・・・あぁ、そう。何か言ってた?」
「えっと・・・・・・図書委員会はできた後輩を持ってる、って・・・」
「え?」

 更に数日後。再び図書室にて。
「この前借りた本の返却だ。」
「・・・はい。有難う御座います。(期限はまだあるのに・・・。もう読み終えてしまったのか・・・。)」
「それと、この本を借りたい。」
「はい、・・・って、え・・・?」
「? 持ち出し禁止の本だったか?」
「ぃ、ぃえ・・・大丈夫です。」

 六年生でも読み解くのが難しい、と言われる本を返した後に、仁ノ助が借りた本は「美味しい甘味レシピ百選」だった。



<会計委員会>※年齢操作(六年→一年)、↑の続き
「あれ、先輩。どうしたんですか、その甘味。」
「・・・・・・。」
「え、沢山作ったからおすそ分け?!」

 曰く、甘味のレシピ本を読んで、大量に作ってしまったらしい。
 凝り性なこの人らしいとは思うが、何も矢羽根で事情を説明する事はないだろう。と、林蔵は思う。

「じゃ、乾いちまう前に食べちまいましょう。茶の準備しときます。」
「休憩がてら、って事で宜しいですか?委員長。」
「・・・。」コクン、と頷く。
「では頂いてしまいましょう。それと、そこの双子!」
「「っ?!」」
「委員長が丹精込めて作って下さった甘味です。もしも鉄粉を振り掛けようものなら・・・・・・、分 か っ て ま す よ ね ?」

 問われた途端。揃って首を縦に降る蓬川兄弟。
 この双子にここまで素直にさせるのは、彼くらいなものだろう。と、文次郎は林蔵から氷入りの緑茶を受け取りながら思った。

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