※「尾浜との絡み」ネタ


「あっ、潮江先輩と幼馴染み先輩だ」

 二人で鍛練に行こうと向かっている最中、五年生に話し掛けられた。文次郎とは顔見知りしく「ああ、勘右衛門か」と親しげに返している。だが伸一郎は残念ながら何と無く見覚えがある程度で、名前を聞いてもピンと来ない。

「……文ちゃん、この子は?」

 失礼を承知で文次郎に聞くと、文次郎ではなく本人がノリよく片手を上げた。

「はーい、五年い組学級委員長の勘ちゃんでーす」

 きゅるん、という効果音と共に自己紹介をしてみせた五年生――尾浜に、伸一郎は数回瞬きをした。ふむと顎に手を当てて考える仕種に、文次郎が嫌な予感を覚える。

「オーケー勘ちゃん、俺のことは伸ちゃん先輩と呼ぶがいい」

 どうやら返し方を考えていたらしく、キランという効果音と共に伸一郎が輝かんばかりの笑みを浮かべた。それに「おお!」と尾浜は嬉しそうにし、文次郎が手を額に当てて深く息を吐く。

「了解しました、伸ちゃん先輩! 因みにフルネームは?」
「松平伸一郎でーす。伸君と呼んでいいのは文ちゃんだけだからそこんとこ宜しく」
「まじっすかー。因みに俺は尾浜勘右衛門でーす」
「宜しくー」
「宜しくー」

 パチンと手を合わせてはしゃぐ二人に、文次郎は面倒なことになりそうだと遠い目をした。

20130201
何と無く気が合う二人になった。
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