※「五年生から見た男主達」ネタ


「あっ、また潮江先輩と食満先輩喧嘩してる」

 教室の窓から外を眺めていた久々知が、鳥を見付けたと言うような感じで何気なく呟いた。暇だからという理由で教室にまで遊びに来ていた鉢屋達はそれに「またか」と苦笑を浮かべる。

「飽きないよなあ、先輩方も」
「あれ一種のコミュニケーションだって誰か言ってたよね」
「確か……立花先輩と善法寺先輩じゃなかったか?」
「俺は喧嘩よりも団子食べてる方が楽しいけどなあ」
「それは俺達全員だって」

 というより、あの二人以外?
 そう言って笑っていると、「あれ」と久々知が意外そうに声を上げた。それにどうしたと聞くと「潮江先輩が……」と答える。

「潮江先輩がどうかしたのか?」
「喧嘩、止めた……」
「えっ、それは珍しい」

 喧嘩を始めると、二人は決着がつくまで止めようとはしない。然し文次郎が止めたということに、少なからずとも五年生達は関心を持った。
 我先にと窓に群がり、その場所を探す。「ほらあそこ」と久々知が指指す方を見れば、確かに喧嘩を中断されて怒る留三郎と、それを適当にあしらいつつ誰かと話している文次郎の姿があった。
 その相手の姿が見た鉢屋が、成る程と納得したように頷く。

「あの人なら仕方ないな」
「あの人が誰か知ってるのか?」
「潮江先輩の幼馴染み、松平伸一郎先輩さ。幼馴染みというのもあって、潮江先輩を止められるんだろうよ」
「へえ、そんな人いたんだな……」

 意外そうに呟く声に、鉢屋は小さく笑う。
 五年生が見守る中、話が終わったのか立ち去る伸一郎を見送る文次郎の背中に、我慢の限界に達した留三郎が思い切り蹴りを入れた。

20130201
この後二人は倒れるまで喧嘩し続けます。
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