※「ツンデレ仙蔵」ネタ


「ただ文次郎に頼まれたから持って来てやっただけであり、貴様の為に買ってきたのではないからな」
「……あっ、そうですか」

 乱暴に突き出された団子の包みとそれを持って来た仙蔵の顔を見比べ、受け取るべきか否か伸一郎は悩んだ。
 何故か後ろで見守っている文次郎に視線を向けると、受け取れとジェスチャーで返される。
 幼馴染みがそう言うのならば、怪しい薬が入っていることはないだろう。そう判断した伸一郎は、礼を言って包みに手を伸ばした。

「あっ」

 その際に手と手が触れ、一瞬にして仙蔵の顔が赤く染まった。弾かれたように手を引き、もう片方の手で触れた箇所を包み込む。

「はっ?」

 それに驚いたのは伸一郎である。ただ手が触れただけだというのに、生娘みたいな反応をした仙蔵に目を丸くする。

「立花?」
「っ、何でもない! 嬉しいなんて思ってない勘違いするでないぞ!」

 名を呼ぶと、仙蔵は踵を返しその場から逃げ出した。バタバタと珍しくも音を立てて走り去るその後ろ姿に、訳が分からず首を傾げる。

「なんだあれ」

 何と無く口に出した言葉に、文次郎はクツクツと小さく笑った。

20130201
これをツンデレと呼んでいいのか甚だ疑問である。
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