なんで話すのが遅くなったかっていうと、いや実はすっかり忘れてて……忘れたというかすっぽり記憶から抜け落ちていたというか、なんか偶然言った『色狂い』って言葉で思い出したというか……しょうがないじゃん、俺だってこんなインパクトでけぇの忘れたことに吃驚してんだよ!

 とにかく、育てていたのは女の人。見たこと無い人で、天女と似たような服着ていて……くのたま教室の先生かなって思ったけど、本当に見たことない顔だったから分かんない。

 一回目にあったのは、確か食堂に皿返しに行った日。ほら、あの忍務から帰って来て色々あって文ちゃん気絶して、皿割って……えっ、それ以外にもあっただろうって? 俺、文ちゃんに関することしか覚えてねぇし。

 とにかくその時、多分食堂に行ったとき……だと思う。そのあたり良く覚えていないんだけど、なんかこう良い匂いがしてきてさ、フラフラーって辿ってみれば花壇で水を上げている女の人がいて……また気付いたら食堂にいた。本当なんだって! 信じてよ!

 次会ったのは……文ちゃんが高熱出した日の夜。あの時も良い匂いが漂ってきてフラフラーっと……フラフラしてごめんなさい。気付いたらまたその花壇にいて、今度は花が咲いていて、女の人が蜜を集めていて……前見た時は咲いていなかった、はず。とにかくそん時に、お菓子は何かいいか聞かれて、そんで実技授業の後に食べるならって聞かれて、面倒くさくて適当に饅頭って言ったような気が……。口説かなかったのかって? 怪しい人口説くほど女に飢えてねぇよ、俺にだって好み位あるわ!
 で、気付いたら廊下にいた。そんですっぽりそのときのこと忘れてた。

 ……んで、色々あって、なんかそういやあの女の人『色狂い花』って言ってたよなって思い出して……良く考えてみれば、可笑しいじゃん? 天女サマ一人だけならまだしも、なんで同じような服を着ている人がいる訳? しかも見たことがない顔だし。言っておくが、くのたま教室で俺が知らない顔はないね! 手を出そうとして返り討ちにあったこと数知れず! 教師陣の間で俺の名前はブラックリスト入りしているとの噂! ……殴らないでごめんなさい。以後気を付けます。

 とにかく、そこに引っかかったから、植物をメインに調べたらそれが見つかった訳。名前からしてアウトだし、効果もぴったりじゃね?
 そう考えると、なんか天女サマ可笑しいよなって思って。不思議な力がーっとか俺達言っているけど、実際見たことないし、天女サマもそんな素振り見せたことないし。寧ろ、天女サマを隠れ蓑に誰か動いてんじゃね? 花育てていた人がそうじゃね? あれ、そう考えると教師陣が動かないのって、そいつらの仕業じゃね? だってあの女の人、大人だったし……とかなんとか。

 俺が気付いたことはこん位。だからさ、文ちゃん。

 俺の背中で算盤積み上げないでください。重いです。潰れます。十キロ算盤なんでそんなにあるの!? 本当重たいんです止めてくださいごめんって文ちゃんーっ!

2017/02/05
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