五年生:ギンギン蝉 追記 「先輩、私すっごく暇なんです」 「雷蔵はどうした」 「雷蔵は図書委員会の仕事です。因みに八左ヱ門も同じく委員会の仕事、兵助と勘右衛門は豆腐を食べに町に行ってまーす」 「着いていかなかったのか?」 「気分じゃなかったので」 「暇じゃなかったのかよ……」 「だって前付き合って行ったら、夕飯入らない位食べさせられたんですもん、豆腐。豆腐でお腹一杯になったのはあれが初めてでした、もう絶対豆腐小僧と豆腐を食べに行きません」 「……」 「あっ、そうだ先輩、語尾にギンギン付けましょう」 「また唐突だな」 「だって先輩何時もギンギン言ってるじゃないないですか、ギンギン」 「何時も言ってねえよ」 「ギンギンは?」 「……ギンギン」 「先輩のそういう所、私好ましいと思います、ギンギン」 「後輩に言われてもな……ギンギン」 「ギンギーン」 「……ギン」 「ギン?」 「……ギンギン」 「ギンギーン」 「……楽しいか? これ」 「結構。でも端から見るとシュールですね、私達」 「……蝉みてえ」 「ギンギン蝉ですねえ」 「まだ夏じゃねえがな」 「ギンギン蝉は一年中いる特別な蝉なので大丈夫です」 「……なにが大丈夫なのかさっぱりだ」 「あっ、先輩、ギンギン付けるの忘れてました」 「……ギーン」 「ギンギーン」 [neta sub TOP] ![]() |