▼キャラレス

伸一郎
「大会も後半戦に入りました! それでは六年ろ組のお二方どうぞー!」

小平太
「私達の出番か! 私のはこれだ、最近やっと手に入ったものなんだけど――」

伸一郎
「おお! これは今人気絵師さんの作品じゃないですか! この人って女性の裸体単体しか描かないんですけど、扇動的な色使いやリアル感がいいって評判ですよね! 流石松平様お目が高い!」

小平太
「うん? そうか有り難うな! 私、この人のを長次に勧められて買ったんだ」

長次
「……私のも、この人の絵だ……」

伸一郎
「これはこれは、中在家のもまた違った構図でいいなー。七松様のは布団の上で乱れる様子だけど、中在家のは風呂場。いいねいいね、風呂場は俺も好きよー!」

文次郎
「お前の趣味は聞いてない」

伸一郎
「そんな冷たいこと言わないでよ文ちゃん。
 竹谷君や不破君のみたいに背景ぼやかしたのもいいけど、七松様達のみたいにハッキリと背景が描かれていると、臨場感があっていい味出すよなー」

伊作
「はあ……さっきから思ってたんだけど、松平って春画本に詳しいんだね」

伸一郎
「俺納得いくものじゃないと買わない主義だからさ、春画本も一つ一つ吟味すんのよ。
 それでは、このまま六年は組いっちゃおー!」

伊作
「ぃい!? もう!?」

留三郎
「……チッ。仕方ねえ、ほらよ」

伸一郎
「……あらま、これはまたレアモノをお持ちで」

文次郎
「何キャラだよ」

伸一郎
「驚きの余りキャラが変わっちゃったのー。
 にしてもこれは凄いレアな絵師さんのじゃん。五年生もこっち来て見てみろよ」

竹谷
「……おお、女の人凄い……」

久々知
「……何と言うか、思わず目を反らしたくなるような……」

尾浜
「伸ちゃん先輩、これは?」

伸一郎
「女性の裸体を追求した絵師さんの作品さ。特に腰に強いこだわりを持っている人で、どの絵も腰がエロいって有名なんだ。この春画本も思わず撫でたくなるような腰のラインが魅力的だよなー。
 食満、これどうしたんだ?」

留三郎
「兄貴からの貰い物だ。これで勉強しろって渡してきやがったんだよ、あん野郎……」

文次郎
「……俺は兄上からこんなもの貰ったことないぞ?」

伸一郎
「文ちゃんのお兄さんが渡すわけないだろ。でもいい兄貴だな、これ見付けるの超苦労したはずだぜ?」

留三郎
「……まっ、まじで? そんなに珍しいのなのか?」

伸一郎
「まじまじ。おっぱい好きにはちょっと物足りないかもしんねえけど、それでもこれ求める人多いって話。良かったなー、食満! これ大事にしろよ!」

留三郎
「おっ、おう、そうか! なら大事にしようかな、うん!」

仙蔵
「……伊作の不運に巻き込まれるに食券三枚かけよう」

小平太
「私は五枚かけてもいいぞ!」

長次
「……四枚……」

鉢屋
「私は今ちょっと苦しいので二枚で。雷蔵は?」

不破
「……うーん、何枚にしようかな……」

留三郎
「お前らな……!」

伊作
「そう言いつつ、春画本を僕から離れた所に隠そうとしないでくれないかな。
 僕のはこれね。どう?」

伸一郎
「予想通りのだ。体つきがリアルでいいな。腰や腕回りが極端に細すぎないし、すっげー微妙な体勢でもないし。それがまた官能的でそそるや」

伊作
「でしょでしょ! 向こうの僕も言ってたけど、やっぱり骨格とかが重要だと思うんだよね! 有り得ない体勢とかを真似する人が出て来たら大変だし、やっぱりこういうのはリアルに忠実でないと!」

伸一郎
「心配そこなんだ」

文次郎
「保健委員長だからな」


続きます!


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