▼キャラレス

伸一郎
「と云う訳で、『恋愛アレコレ〜』の五年生達とギャラドスが遭遇した池にやって参りましたー」

ギャラドス
「ぎゃおぉおおん!」

文次郎
「のわあ!」

伸一郎
「――と思っていたら、気配を敏感に察したギャラドスが池から出て来て、文ちゃんに飛び付きましたー。端から見ると襲われているようにしか見えないけど、文ちゃん達だしまあいっか」

鉢屋
「潮江先輩、潰れてません?」

伸一郎
「何時ものことだから」

竹谷
「生ギャラドスやっぱカッコイイ! 流石水ポケの中でも攻撃力最強を誇る物理アタッカーかつ潮江先輩のパートナー、見ただけで強いと分かりますね!」

伸一郎
「文ちゃんにのしかかり顔を擦り寄せてパタパタと無邪気に尾ヒレを振ってるギャラドスがそう見える竹谷君が凄いと思うぜ、うん」

鉢屋
「生物委員長代理フィルターかかってますから、八左ヱ門には」



文次郎
「ひっ、久々に死ぬかと思った……」

ギャラドス
「ギャアン?」

伸一郎
「文ちゃんが解放された所で、手紙への返信に移りましょう。次は『恋愛アレコレ〜』の『竹谷』君のでーす」

【A八左ヱ門
「こんばんは、『恋愛アレコレ〜』の竹谷八左ヱ門です。先日はいろいろとお騒がせしてすいません。
 キャリーの手当から供養までしていただいて、松平先輩には本当にご迷惑をおかけしました。
 それから…えっと、そちらの『潮江先輩』も…すいません。勝手にモンスターバトルしてそちらのギャラドスに少しだけとはいえ怪我をさせてしまって。(汗)
 お詫びにオレンの実の袋詰めを持ってきました。どうかこれで勘弁してください。いや、勘右衛門はこちらの『潮江先輩』は常識人だから大丈夫だろ…って、言うんですが…ポケモンパロでの溺愛…いやいや、可愛がりぶりを見たら『絶対怒られる』って気がヒシヒシとしたもので。(滝汗)
 急遽、甘い味のおやつ…たしかポケモン世界だと『ポフィン』とか言うらしいですね…それも作ってきました。初めて作ったのでちょっと焦げた気がしないでもないですが、ギャラドスが気に入ってくれると嬉しいです。
 本当にすいませんでした。

 と、そうそう、ポケモン世界の属性の強弱関係もいろいろと複雑なんですね。
 飛行系モンスターに雷撃が有効なのは納得ですが、まさか4倍ダメとは…正に天敵ですね。ギャラドスは強すぎるからこそ『飛行』タイプに属しているのかもしれません。でなきゃ勝てる気がしない。
 それぞれに長所があって弱点があって、トレーナーの愛情と情熱次第でどんなモンスターも強くなれる…ポケモンの魅力ってそこなんじゃないかなぁと思いました。
 『潮江先輩』が最初のパートナーにコイキングを選んだ気持ちが解ります。
 オレはどっちかと言えば相棒のモンスターと一緒に戦うのが性に合っているみたいなんですが、松平先輩や『潮江先輩』の話を見てるとポケモン世界にも行ってみたいなぁと思います。】

伸一郎
「いえいえ、こちらこそキャリー君にはお世話になりました。寧ろ蟹鍋にしてしまってごめんなー。
 てかキャリー君復活するんだな、すげえな不死身の蟹」

竹谷
「モンハンとはまた別の『FF11』のキャラクターらしいですよ。曰くマリル並に人気だと」

伸一郎
「マリルは愛くるしい容姿で確かに人気だけど、ゲームで「雑巾臭い」と言われ、進化後は見た目と打って変わって水ポケの中でも上位な物理アタッカーになることから『青い悪魔』と言われていまーす。ネタ要素満載な子です。
 因みに『黄色い悪魔』はピカチュウのことを指します」

鉢屋
「ポケモンって見た目可愛い奴ほど中々にえげつないですよねー。代表格はアニポケのサトシのピカチュウでしょう、何あの子最強過ぎる」

竹谷
「伝説ポケモンに勝つサトシのピカチュウマジピカ様」

伸一郎
「ピカ先輩恐ろしい」

文次郎
「……ピカチュウのことはさておき、俺は怒っていないから気にしないでほしい。モンスターバトルで怪我を負うのは当然のことだ、それ位で怒る位なら端からバトルなどしない。
 ただこれが狩猟目的だったなら、どうなっていたかは分からないがな」

伸一郎
「いきなり軌道修正したかと思えば、文ちゃん、何向こうを脅してんのさ」

文次郎
「脅しとらん。オレンの実とポフィンは感謝する、味も甘くギャラドス好みだ」

ギャラ
「ぎゃあん♪」

鉢屋
「いやいや、先輩のその妙な含みは『宜しい、ならば戦争だ』的な意味と同じですから」

竹谷
「でもなんで怒ってないんですか?」

文次郎
「怒って欲しいなら怒るが、いいのか?」

竹谷
「止めてください」

文次郎
「尤も、ギャラドスに見張りを任せた時点である程度傷を負わせることを覚悟していたから、怒るに怒れんのもあるがな」

鉢屋
「はあ、確かにそうですけど……。向こうの私達が来るのを知っていたなら、見張らせなくても良かったのでは? 『サイト交流』と目的がハッキリとしているんですから」

文次郎
「『恋愛アレコレ〜』の奴らだけが来るとは限らないからな。勝手な都合で解くわけにはいかん」

伸一郎
「文ちゃん、警戒心高すぎだってーの。だからギャラドスも警戒心高いのよー?」

文次郎
「いいことじゃないか。なあギャラドス」

ギャラドス
「ぎゃおん!」

竹谷
「……せっ、先輩、ギャラドスに触ってもいいですか? てか乗っていいですか?」

鉢屋
「いきなり話が変わってキャラレスに全く関係ないですけど、私も『なみのり』してみたいです」

文次郎
「いいか? ギャラドス」

ギャラドス
「ぎゃあ」

文次郎
「いいそうだ」

竹谷
「よっしゃ! 今まで怖くて近寄れなかったけど、ポフィンでご機嫌な今なら……!」

伸一郎
「……そっか。野生のギャラドスは遭遇率が低い上にかなりの狂暴だから、触れ合う機会なんてないよなー」

竹谷
「そうなんですよ! だから俺ずっと触ってみたかったんですけど、潮江先輩が怖くて出来なかったんですよね」

文次郎
「ギャラドスじゃなくて俺が怖いのか」

鉢屋
「大丈夫ですよ、先輩。普通の人は両方怖いって思いますから」

文次郎
「フォローになっとらん!」



竹谷
「ツルツルな上に綺麗な並びの鱗! 無駄が無いほど好くついた筋肉! トレーナー以外の人にも好意的な懐こさ! 他人を乗せても取れるバランス力!」

鉢屋
「ひゃっほう!」

伸一郎
「……ギャラドスをウオッチャーの如く観察する竹谷君と、ギャラドスの頭から帯びれまで滑り台のように滑って遊ぶ鉢屋君……。
 何これ超シュールな光景」

文次郎
「竹谷はブリーダー志望だから仕方ないとして、鉢屋は絶対わざとだな」

伸一郎
「何よりそれを受け入れているギャラドスの心の広さに脱帽。
 なんか文ちゃんのギャラドス懐こいですけど、本来ギャラドスはかなり狂暴性の高いポケモンなので誤解しないでくださいねー」

文次郎
「先程伸一郎は俺の影響で、と言っていましたが、野生のギャラドスの警戒心はこの倍以上です。
 ポケモン初期世代からのファンの間で『Mr.はかいこうせん』の愛称で呼ばれている位、怒り狂えばバンバン強力な技を繰り出してきます」

伸一郎
「……ん? でも文ちゃんのギャラドスがバトルで使っていることは無かったような……」

文次郎
「ギャラドスは攻撃力は高いが、特攻(特殊攻撃力)はそこまでない。『はかいこうせん』は特殊攻撃だから正直バトルで使うのは心許ないし、他の『たきのぼり』や『おんがえし』といった物理攻撃の方が威力はあるんだよ」

伸一郎
「うわー、専門的知識きたー」

文次郎
「向こうの『竹谷』が言う通り、ポケモンの属性の強弱関係は複雑だ。
 ゲームでストーリーを進める為ならさほど考えなくてもいいが、これが世界規模の大会やバトル施設を勝ち抜く為だったら、属性だけでなくあらゆることを考慮しなくては勝てない。ここまでくると『数字計算バトル』になるから、俺は好きではないが」

伸一郎
「文ちゃん、そんなこと言っても向こうは分からないって。
 ええとですねー、ちょこっとポケモンをしたことがある人は覚えがあると思いますが、ポケモンには『攻撃』『防御』『特攻』『特防』『素早さ』『HP』の六つのステータスがあります。普通にストーリー進めるだけならさほど気にしなくてもいいんですけどねー。
 世界規模で行われている公式ポケモンバトル大会や、本格的にバトルに打ち込みたい人向けのバトル施設になると、ただ育てているだけでは勝てっこありません。前者は相手が『人』、後者はレベルが『最強』まで跳ね上がります。
 そこで勝つために何をするかと言うと、このステータスを完全数字化して計算していきます。ステータス全てが優れている子を作り、それらを『最高』に育て上げます。
 正直かなり面倒臭い上に手間がかかります。計算も数式がややこしいです。
 それが楽しいって嵌まる人もいるんですけどねー。あっ、勿論作戦も必要ですよー」

文次郎
「……ポケモンをよく知らなければついていけない話だったな。
 脱線してしまい、申し訳ありませんでした」

伸一郎
「これはゲームでの話で、ここみたいに現実設定の世界では起こり得ない、と信じたいことなので、そこまで気にしないでねー。
 『竹谷』君が【松平先輩や『潮江先輩』の話を見てるとポケモン世界にも行ってみたいなぁと思います】って言ってくれるの超嬉しー。ポケモン楽しーよー、頭使うけど」

文次郎
「『竹谷』の言う通り、ポケモンの魅力はそこにあるんだろう。
 コイキングを選んだ気持ちを分かってもらえて嬉しく思う」

伸一郎
「あー、でも、ポケモンだけが戦ってるわけじゃないかもー?
 人は直接バトルはしないけど心は一緒、みたいな?」

文次郎
「……お前からそんな台詞が聞ける日が来るとは……」

伸一郎
「……悪い、忘れて。今すっげー恥ずかしい……」

文次郎
「安心しろ。一生忘れない記憶となった」

伸一郎
「めっちゃいい笑顔過ぎて悪寒しかしない!」

鉢屋
「なーに二人で話してるんですかー? 私も混ぜてくださいよー」

文次郎
「もう遊び終わったのか?」

鉢屋
「ギャラドスの背中滑り心地良かったです」

伸一郎
「それはいいことだね! うん! 竹谷君もほら、向こうの『君』に返事しようぜ!」

竹谷
「えっ、あっ、はい、分かりました!」

鉢屋
「……何があったんですか?」

文次郎
「伸一郎の羞恥イベントがあったぞ」

鉢屋
「……エロ本がくのたまにバレたとか?」

伸一郎
「そっちの方がまだ良かったぜ!」


続きます。


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