☆なんていうか快斗さん(のあたま)が可哀相な感じだから閲覧注意☆










【おふろふうふ】


 赤ん坊とのお風呂は、大人一人だと結構手がかかるものである。事前に、身体をくるむタオルや着替えの服だのと風呂上がり用の準備をしても、まだお座りもままならない状態の赤ん坊からは一瞬たりとも手も目も離せない。赤ん坊が二人なら尚更に。
 しかし、大人が二人以上傍にいるなら話は別だ。一人が湯船で赤ん坊を湯に浸からせ洗ってやったら、風呂の外にいる人間に後の世話をバトンタッチできる。赤ん坊が二人でも、タイミングをズラせば問題はない。
 黒羽家においてもそれは同様で、赤ん坊が月齢二月を過ぎた今は、どちらかが―大抵はコナンが湯船で赤子の世話をして、浴室の傍で快斗が待機して湯上がりの世話をするような役割分担が出来ていた。『双子とはいえ、いつも一緒くたではなく、一対一の母子の時間を取った方が良いんじゃないかしら?』と、すっかり黒羽家母子主治医となっているコナンの友人が様々な育児書片手に提案してくれた案を採って、ゆっくり出来て、素肌を合わせられる場所=お風呂となったのだ。

 コナンは赤ん坊を快斗に渡したら、今度は自分がゆっくりする番になる筈なのだが、実際赤子二人を入れている時間は自分も湯船に入っているので、殆ど毎回逆上せそうな身体を治めつつ、さっさと身体を洗ったら湯船の湯を抜いて風呂から上がるようにしていた。それからこれまたさっさと着替えて、軽く浴槽を洗ってお湯を張り直すのだ。お風呂で裸になる開放感からか、よくよく赤ん坊は湯船でスッキリしてしまう事が多く、濁ってしまった風呂に勤労してなお家族サービスをしてくれる伴侶を入らせるのもなぁ、というコナンなりの思いやりだったりする。

 快斗としては「別にいいのに」と思いつつ、赤ん坊が風呂から出て来る順繰りに、拭いて着替えさせて湯冷ましを飲ませてーとしている間に「代わるぜ、入れよ」と声を掛けられるので、その心遣いに感謝することにしていた。
 
 ところがある日のこと。
 快斗は大変な事実に気がついたのだ。





「あげるぞー」

 浴室の隣の脱衣所で、先に受け取った男児を移動用クーハンに転がして口元に湯冷ましを入れた哺乳瓶を当ててやっていた快斗は、コナンの合図に、二人目を受け止めるべくさっと両腕の間にタオルをエア敷きして、肩口で浴室の扉を開けた。
 ゆらゆら湯船で揺られていた女児が、コナンの手から快斗の手へ。

「よろしくな」
「おう。…気持ちよかったかー?」

 ほっこり温まった小さな我が子に言葉を掛けながら、浴槽の脇でまずタオルを巻く。顔に付いている水気を軽く拭おうとして、ふくふくした顎の下の皺の間にまだ白い汚れが付いている事に気がついた。

「ちーっと洗い残しがあるみてぇ…ガーゼ、ちょっと取って」
「ん」

 快斗に言われ、コナンは湯船に浮いていた大判のガーゼを拾って、素早く水気を絞って渡す。赤ん坊の脇の下やら手足の関節部位には汚れが溜まり易く、放っておくと赤く湿疹になったりするので、こまめにケアをしなさいよ、と親切な隣人や親歴豊富な先輩方(実母と義母)にはかなり煩く言われていた。
 しまったなー、と思いながらも、ガーゼタオルを受け取ってせっせと世話してくれる相方がいてくれて良かったとホッとしきりである。境目が曖昧な顎と首の間を撫でられ、猫のように「んーぁ、むー」と喉を鳴らすような声を出す赤子の顔を覗き込み、コナンは(「そこー。かゆかったー」か?)などと赤子の言葉を推理してニヤリと笑った。

「おっけ、取れた」
「悪いな、サンキュ」

 不要になったガーゼは邪魔だろうと、コナンは手を出したが「ついでに洗濯機入れとくわ」と快斗は笑ってコナンを見て、一瞬大きく目を見開いた。

「…おい、コナンそれ」
「?なんだよ」
「………」
「快斗?」

 軽く目を見開いて見てくる目線を追って、コナンも視線を自分の身体の下の方へ。…最終的には湯船に行き着いた。入浴開始時と違って結構汚れてしまっている。コナンからすると何時もの事なのだが、いつもなら赤子の身体を洗ったり、纏わせたりしているガーゼが浮いていないから、傍目からすると目立って汚いのかもしれないな、と考えた。

「ちゃんと、いつも通りお湯は入れ替えておくから、チビ頼むぜ」
「…いや、その…お湯」
「なんだよ」
「…入浴剤って入れてるのか?」
「はぁ?」

 恐る恐る、と言った風で妙な事を尋ねる快斗に、コナンは更に首を傾げた。ベビー用にも低刺激なものはあると聞くが、生憎と、そういった物は使用していない。せいぜい湯上がりに、赤ん坊の乾燥しがちな部位にベビーオイルを塗ってやる程度だ。そんな事は快斗とて承知しているはずだろう。この浴室にそんな物は置いていないのだし。
 なんなんだよ、オメー…と怪訝な顔で返すコナンに、快斗は「いや、そうだよな、ってことはアレだよな」とブツブツ更に訳の分からない呟きを漏らし、その後、急いで口を開いた。

「コナン、あのさ!オレちょっぱやで、コイツ拭いて身支度整えとくから、コナンも風呂の始末とかナシで、なるはやで風呂代わってくれねぇ?」
「え、でもよ」
「そのままでいいから!」

 いいな!?と強く言って、言葉通り急いで脱衣所へと身を翻す快斗に、コナンはパチパチと目を瞬かせて「お、おう?」と返すしかなかった。



 (黒羽快斗は悩んでいた。―そう、己で見た真実に戦慄しながらも、どうしても確かめたい想いを抱えて…)―などと己でモノローグを入れられる程度には余裕を持っていたが、一応、そこそこ、黒羽快斗は悩んでいた。
 それは先ほど、二人目の我が子を浴槽から取り上げた時の事だ。
 偶々その場で受け取った赤ん坊に洗い残しがあるのに気付いて、ささっと綺麗にしてやろうと浴槽の直ぐ傍で作業をした時。
 ―そこで、その様子を浴槽に軽く腰掛けて覗き込んでいたコナンを見たのだ。
 二人分の入浴に付き合って、すっかり茹で上がりかけのその子の顔は赤くて可愛くて、それはもう―(いやいや、問題はそこではなく)快斗を頭を軽く振って、脱ぎかけのシャツをバサリと落として、洗濯カゴに放る。
 さきほど、後から上がらせた赤ん坊の湯上がり作業を倍速で行い、快斗の言葉を聞いてくれたらしく早めに風呂場から出て来たコナンに、湯冷ましの哺乳瓶を渡してお世話交代。コナンは、やはり不審な顔をしていたが、快斗は「んじゃ、行くわ」とさっさと風呂場に舞い戻ったのである。
 腰のベルトを解いて、スラックスと下着とを脱いでしまう。その際、すこしばかりチャックが降ろしにくかったが、これはもう仕方ないだろうと、一旦無視することにした。
 瑞々しいという言葉に相応しい、つい少し前まで女子高生だった彼女の肢体は、子どもを産んでなお、むしろその過程を経て、依然よりも丸みを帯び柔かく美しく。快斗は、赤ん坊の世話をする際に色々と無防備に晒されるその肌に、理性が飛びそうになるのを必死に抑える毎日だ。悲しいかな、慣れていた。
 
 ガラッと脱衣所から浴室への扉を開けた。ご丁寧に湯船には蓋がされている。
 快斗は、ごくっと息を呑んでから、ゆっくりと、それを外した。

―白く濁った風呂のお湯。

「…やっぱこれって…」

―先ほど、コナンの胸元もとい胸の先から流れていた白い雫。

「母乳風呂…!」

―甘い甘い匂いは赤子がさせているようで、その正体は母親が子に与えるミルクの匂い。

「奇跡!オレ、こんな奇跡の極上風呂、今まで、よりにもよってコナンちゃんに流させてたのかよ…!?」

 ああ、少し考えれば分かっただろうに!なんて勿体ないことを…!と快斗は本気で後悔した。彼の愛するヨメが目撃したら本気でドン引きする勢いの激しい悔いの表情だった。

「可愛いコナンちゃんのミルクに?可愛い赤ん坊の尿素?もう完全な美肌になる予感しかしねーだろ、これ…」

 予感つーか確信だし、っていうか飲んでも良いくらいじゃね?むしろ飲み物じゃねーの?ペットボトル…いや瓶に保存すべき奇跡の天然水だろ…と呟く黒羽快斗は本気だった。本気で気持ちわりぃいい!とコナンに言われても致し方ないくらいの鬼気迫った本気の顔だった。
 
「まず…一口」

 そっと浴槽に手を入れ、うっすら濁った風呂水を掬って口元へ―

「よせ、バーロ、気持ちわりぃいいいいいいいいいっっ!!」

 妙に余裕の無い表情でコナンと入れ替わりに風呂場へ向かった快斗を、探偵的性分三割単純な好奇心七割で尾行していたコナンの一撃により、気持ちの悪い現場は不成立となり代わりに妻による夫の溺死殺害未遂事件が勃発したのであった。



「正気に戻ったか?」
「うん、生還出来て良かった、って今カミサマに感謝してる」
「無神論者がぬけぬけと」
「あはは、そーいや、オレが信じてるのはコナンちゃんの愛だけだった!」
「そりゃ…残念だな。信じるものが無い人生とは…」
「ちょ、コナン?!その可哀相に、って目やめて!」

 後頭部に強い衝撃を受け、湯船に突っ伏した快斗は数分意識を飛ばしていたが、我に返りー己の視界に浴室の天井と愛する妻の絶対零度の眼差しを映した瞬間、浴室のタイルの上で正座をしていた。無論、全裸である。
 ああ、彼女が―彼女の本質にある彼が、怪盗さえも翻弄する名探偵だと知っていた筈なのに!己の動揺は簡単に彼女に悟られ、そして完全に思考回路がアレになってた己の行動がバレたと知った快斗の顔色は先ほどとは打って代わって真っ青だった。浴室は湯船から立ち上る湯気で温かいはずなのに、冷たい目をしたコナンを前に、快斗の身体はガタガタと震えだす。

「そ、その…すいません」
「何が」
「ええと…でも、ほらオレって胃腸は結構丈夫だから…」
「オ、レ、は!そんな心配してねーぞ?!って何だ、丈夫だったらマジで飲むのかよ!?」
「は?当たり前だろ。丈夫じゃなくても、だったら胃を鍛えてでも飲むだろ。薄めるのは勿体ねーし」

 お医者さまを、誰かお医者さまを、お医者さまはいらっしゃいませんか!とコナンは叫びたいのを堪えた。叫んだら、もしかしたら隣人兼主治医が来てくれるかもしれないが、流石にこれは診療範囲外な気がするし、そもそもよく考えなくたって、こんな場に彼女を呼び出すなんてこと申し訳なくて出来やしない。
 戦いていた快斗が、なにを当たり前なことを、とポカンとしてコナンを見てくるのが、正直、大変に気持ち悪かった。
 どうしよう、旦那が変態だ。いや割とその傾向にあるのは知っていたが、まさか10年を越えての付き合いでそんな一面を更に深く知るなんて―知りたくなかった!
 コナンは相手を見下ろす立場にいながらにして、不穏な形勢逆転が起こりそうな予感に戦慄した。なんかマズイ気がする。理屈が通じない相手を一体どう説得したものか。奇術師の詭弁が始まるより先に、その凶行を止める何かが必要だった。

「あのさ…快斗」
「はい」
「その…飲みたかったら、別に、んな風呂のじゃなくて」

 言いながら、コナンは授乳用に出来ている上着の脇のボタンを外して、正座する快斗の前に屈みこむ。

「…少しなら、いいぞ?」




***

 産後も2ヶ月を過ぎ、悪露は完全に終わっていた。新生児とのお風呂の許可も出て、そこで己の身体を見直して、そこそこ腹部の皮膚や筋肉も戻って来たな、とコナン自身思い始めた所だった。
 なにぶん初産でしかも双子で、自然分娩待ちの、出産予定日を些か過ぎた状態で、という大仕事になったゆえ、産褥の期間は多めに取るよう周囲に言われていた。赤子を体外排出して後、収縮しようとする子宮や伸びた皮膚が戻るには時間が要ったのだ、なにせ二人分だ。
 ―つまりは、その間と、お腹が大変大きくなったその前から、セックスレスだったことになる。我慢させているな、とコナンは思っていた。特に産んでからは、性的な話は互いに避けているような気もしていた。赤ん坊の世話にかかり切りになるのは、『貴女のお腹…二人いるみたいよ』と言われた時から一応の覚悟はしていたが、予想以上に大変で、しかも、物の本で読んだ想像以上に赤子がいると母体となった身体からは性欲が無くなるものだと知ったのだ。
 産む前までは手や口ーあるいは胸や脚を使っていた仲良しごとも、すっかりご無沙汰だった。
 一応、女性化を遂げた際に、コナンの胸部はそれなりに膨らんで、またその後揉みまくって育てようとした人間もいたことから、産後の今はCカップはある。元男としてはソレを素直に喜べはしなかったが、『産むと決めたなら、女以上に親になりなさい』と言われ、いわゆる『おっぱいケア』もこそこそ頑張って行って(本当に己の胸から液体が噴出した時は驚愕とか恐怖とかで精神状態は大変な目に遭わされたが)ーその甲斐あって、市販のミルクを足しながらも母乳も与えられる状態になっているのだ。むしろ赤ん坊とのお風呂を始めてから、血行が良くなって、母乳の量は増えている気がする。身体が温められたり、赤ん坊の泣く声を聞くと、勝手に胸が張って、溢れてしまうようにもなっていた。
 流石にそんな状態を知られるのは恥ずかしくて、さっさと使った風呂を洗ったり、下着にパッドを入れたりして対応していたのだが。時折、赤ん坊の世話や受け渡しをするために裸のままのコナンに寄って来る快斗が、ごく普通の顔をしていたから、なんとなく、伴侶もまた「そういう」気持ち―いわゆる性欲は、無垢な赤ん坊を前にして、すっかり減退しているのかも、と思っていた。だが、違うのだ。
 快斗の奇行が、コナンの身体(から溢れるアレとか、禁欲生活とか)が齎したものなのだとすれば、これ以上のトチ狂った方向に走らない様、コナンが舵を取る必要があるのだ。


「ええと。それは」
「張ってると、結構痛いから、あんま触って欲しくねーけど」
「…いや、でも」

 突然の申し出に、快斗は正座のまま、そっと服の割れ目から現れた白く脹よかで柔らかそうなそれを凝視した。コナンが左手で軽く服をめくって、右手で下から持ち上げる様にして晒してくれるそれ―じっと見ていると、やはり先端に薄く白い水膜が張って、―つぅと重力に従い零れて行く体液。

「服に染みるから、早くしろよ」
「!?」

 まじっすか。いいんですか。

 と、口以上にもの言う目で驚愕しながら問いかけて来る快斗に、コナンは頷く。人体の―母体の不思議を「神秘」と言って、目を細めて赤子がコナンの胸に吸い付くのを見守ってきた男だ。むしろ、よくぞ今まで「オレも!」と言って吸い付いてこなかったもんだと思うコナンである。良く出来た父親面こそが、雄の欲望を押さえ込むポーカーフェイスだったのだろうか。しかし抑圧のあまり人としてアウトな行動に走られるのは頂けない。

「し、失礼しまーす…」

 快斗は恐る恐る、外気に晒されているコナンの左の胸に顔を寄せる。ふわりと鼻先に香る甘いにおい。思い切って、大きく口を開けぱくりといこうとした。
 瞬間ー『ほぇ、ほあぁ…ああぁぁ…』

「?!」

 びくりと快斗は肩を揺らした。風呂場の外から、泣き声が響いて来る。
(ああ、やっぱコレは赤ん坊のモンじゃねぇか、しっかりしろオレ!だいたい、ンな事したら、絶対我慢きかねーって!)
 咄嗟に我に返った己の理性えらい、と甘い誘惑の果実から目を逸らし、コナンの肩を掴んで快斗はその身体を離そうとした。しかし。逆に快斗の肩と、後頭部を掴んだ手が、ぐいっと快斗をたわわな果実に押し付けて来た。

「ん、ぐ」
「ん…っ、ほら。少しぐらい泣かしといても構わねーだろ。泣くのが仕事なんだし」
(ええええー!?でも、いやいや、そんな、うわ、―…っ、も、)

「ふ…、ぁ…ば、揉むなって」
「んー、…舐める、だけ?」
「ん。張ってきたし、んん、…つっ」

 快斗は、殆ど反射の勢いで片手を胸に、もう片手をするりと腰に回してコナンの身体を抱き寄せる。家族の触れ合いはしても、あえて恋人ー夫婦のスキンシップを思わせる接触は出来る限り避けて来た。コナンが大事だからという以上に、快斗自身の理性の問題があったからだ。それが、もう少し二人の子どもらが長く寝てくれるようになれば…と、タイミングを計っていたところにこの仕打ち。欲しかったものを差し出されて我慢なんて馬鹿馬鹿しい。

「すげ、…甘い、まじで」

 少し濡れてしまうけれど、もっと近くに感じたいと思い、快斗は更にコナンに密着する。薄着の服越しに柔らかい身体の感触。そして口で舌で味わう柔肌とミルク。
 先ほどコナンの冷えた視線を前に萎れてしまっていた快斗自身にも血が滾りだすのは当然だった。
 
  だが。

『ほぇ…ふぇええええええん』
『ふぐぅ…ぅぁああん』

「…おれたちのおっぱい返せー!って言われてる気がするんですが」
「…かもなー」

 泣き声はますます大きく、二重奏になっていた。広い家によく響いている。そういえば、風通しを良くするために部屋の窓は開けていたような気がする。下手をすると、隣人が心配して様子を見る頃合いかもしれない。赤子に泣く仕事をさせすぎると、親の仕事の怠慢が疑われてしまう。
 
「じゃ、コレはもういいよな」
「え?あー!!」

 コナンは、名残惜しげに胸へと吸い付く快斗の頭を片手でやんわり固定しつつ、素早く浴槽の栓を抜いた。
 みるみる排出口から流れ出て行く奇跡の天然水。

「勿体ねぇ…」
「バーロ、もう一回お湯張って入れよ」
「いや、シャワーでいいわ…」

 股間に集まりかけていた熱を冷やさないとなーと、快斗は内心で溜め息を吐きつつ、コナンの服を直してやる。どんなに快斗がコナンを欲しいと思ったって、泣く子には勝てないのが現状だ。それに、母乳の原料が母体の血液だと知っていれば尚更横から奪い取るなど以ての外だな、と思ってしまうのだ。
 快斗は、「とにかく、アイツら頼むよ。オレもすぐ出るから」と言って、コナンを浴室から追い出しに掛かる。だが、コナンは、唐突に露わになっている快斗自身をするりと軽く撫で摩った。

「!?」 

 突然の刺激に、快斗は腰を引いて大仰に身体を震わせ硬直する。

「な、なに!ちょ…っ」
「いーから、ちゃんと綺麗にしとけ。でも、勝手にスッキリすんなよ」
「…えっ」
「アイツら寝かしつけたら、オメーも可愛がってやる」

 口の端をつり上げ目を細めてそう言うコナンに、一体何事が起きているのかと快斗はあんぐり口を開けた。コナンの指は快斗のそれを優しく這っていて、そうされる毎に、快斗のモノには芯が通って行く。
 一体なんだ何なんだ、と凝視した先で、快斗の認識が正しければ、コナンは『嬉しそう』というべき表情をしていた。

「あんな風に泣いて呼ばれんのも、こんな風に欲しがられんのも…結構、悪くねーな」
「こ、コナンさん…?あの」
「あ、『生理が無くても排卵してる場合があるから避妊はきちんと』って灰原に言われてるから、忘れんなよ」
「!はいっ、する。ちゃんとする!!」

 行儀の良い返事に、コナンは一つ頷くと、『はいはーい、っと』浴室の扉の外へ。
 風呂場に残された快斗は、己のヨメのイケメンぶりに、両手に顔を埋めて暫く悶える事になったのだった。










おっぱい!おっぱい!









実にすみませんでした…


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