恒例四人組による卓ゲー風景


ある一室にて。



「今日は良い風が吹いてるよな」

ふと窓の方を見て呟いた工藤に、服部がそうやなぁと同意を示した。

「春一番が近いんやろ」
「まぁ、まだ北風が強い気はすっけどさ。三月が近いにしては」

東西の頭文字を頂く名探偵二人の長閑な様子に、白馬もクスリと笑いをこぼしてから口を開く。

「そう…ですねぇ、僕もばぁやに言われて上着を四枚も着こんでますよ」

そりゃさすがに暑いだろう、と少し瞠目して呆れたように述べた工藤だが、突如隣席から響いてきたダン!と机を叩く音に一瞬肩を上げ、それからゆっくりと視線をそちらへ向けた。

実に刺々しい目と、目が合った。

「その白々しい会話を今すぐ止めていただけますか」

「乱暴だな。怪盗「紳士」の名が泣くぜ?キッドさんよ」
「牌倒してもーとるやん!罰符倍払いやぞ」
「どうしたんです?怪盗キッドともあろう君が」

「どーもこーも、三対一は卑怯すぎんだろぉおお!?」

再度、ドンっと机―卓を叩く手は素肌だった。(指紋は大丈夫なのか?と彼がそれを脱いだ時に思わないでもなかった探偵たちだが、光の加減から薄手の手袋をしぶとく装着していることが窺えたので、敢えて見逃してやっていた。)
怪盗たるトレードマークのシルクハットとマントは既に彼の身には無い。ついでにネクタイも。次の回で彼が最下位ならばしぶとく顔で揺れているモノクルを剥ぐ予定だった。

「はぁ?勝負で決めるって言ったのテメーだろ」
「三人まとめてお相手しましょうとも言っとったな」
「…君が何かに気付いたとしても、暴くのは怪盗の仕事ではないでしょう。奇術師を気取るのならば逆手に取るくらいのことをすればいいんじゃないですか」

「う、うっせぇー!そもそもなんで麻雀?!」

「わざわざ獲物(お前)目の前にしてサシ三本勝負なんかやってられっかっての」
「ちゅーても、たとえ怪盗相手でも?密室で多勢に無勢じゃ俺らの気が咎めるやろ?」
「このゲームなら、同時に四人で対戦出来て、なおかつ首位と最下位が決定されるのだから話が早いでしょう」

「首位?最下位?それって協力して俺潰して、んでついでに探偵サン達が楽しみたいってだけじゃねぇかよ!しかも解りやす過ぎて萎えんだよ!「通し」使うんならもっと頭ひねろっての。横着すんなっ」

バレていて当然、とはいえ、事前打ち合わせもなく作りだした暗示的遣りとりの手抜きを指摘された工藤はムッと眉をしかめた。

「テメ―こそ、積み替えの手口もろばれじゃねぇかよ。多少のハンデは仕方ねぇかって見逃してやったら、次々と…」
「だいたい河から拾うってのは俺ら馬鹿にしすぎやろ?」
「その上捨て牌を読ませない為の置き換えかと思えば、流し狙いとは」

「あああ、もう止め止め!」

じっとりと―ヤレヤレと―責めてくる探偵たちに、怪盗は揺らされても倒れていなかった牌をまとめて卓へと零した。

「なんで勝負の内容が、オレの脱衣麻雀になってんだ!」




・・・・

多分怪盗を追って探偵集結しかし四人まとめて船とか艦とかの遊興場に閉じ込められ→暇だし怪盗もいるし何かゲームしようぜ→あ、麻雀! という無理やりな流れ。

麻雀は楽しいですよ!


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