■秋の夜長の会話他■快新

・とりとめなし・


「あのさー新一」
「なんだ」
「夏の暑さがひいて、最近すげー寒いよな。ぬくもりとか人肌とか、俺肌とか欲しくならねぇ?」
「……ならなくは、ない」
「え」
「足、冷たい」
「ああ、うん。ルームシューズが嫌なら、せめて靴下はこうな」
「風呂で足洗ったのに?」
「だったら、毛布被るとか?ひざ掛けあっただろー」
「お前があっためろよ」
「んんー…それって」
「ホラ」

「冷たい!腹が冷える!」
「うっせ、お前肌欲しがったら、くれるつもりだったんだろ?」
「そうだけど!でも足の裏を腹にくっつけるだけってスゲー微妙!」
「俺は暖かいぞ」
「…じゃあ…いいか」
「…いいのか」
「なんだろ、かの信長に仕えた猿の気分?」
「…?」
「草履じゃなくて、直接腹で大事な人の足を暖めておきます!みたいな」
「秀吉に謝れ」
「なんで」
「なんとなくだ」


  **  **  **


「そろそろ、大掃除の季節だなー」
「え?!このお屋敷もそんな儀式するの」
「儀式…。まぁ、するな。一応」
「つか、今までどうしてたんだ?こんな広いの一人じゃ無理だろ?」
「知ってるか?引越し系業者がハウスクリーニング業を兼業している率の高さ」
「なるほど。でも意外だな。書斎とか自室に見知らぬ業者が入るのって嫌がるかと思った」
「見知ってる業者だしなー。本の虫干しもしてくれるし」
「へぇ。何ていう会社?」
「○×出版とか、▲■書房とか」
「あれ?引越し業者の話のくだりドコいった」
「それは家の水回りとか外回りとかだ。書斎は、親父の本を扱ってる出版社がこぞって遣って来ては、どんな本棚になってるかチェックしたり、こっそり自社出版物を置いて行ったりするんだぜ」
「…さすが世界の推理作家の工藤サマ」
「で、大掃除が終った後、混入された本を探すのが俺の楽しみだ」
「なるほどねぇ」
「大抵、中に原稿催促嘆願書が入ってるんだぜ?」
「…なるほどな」
「俺は素直に買収されてやって、その嘆願書を親父宛に送ったら大掃除終了なんだ」
「どこも掃除してねーぞ、オメー。部屋は?」
「ハハッ!愛してるぞ、快斗ー」
「うん、知ってたけどな!いいよ、ベッドメイク頑張るから。滅茶苦茶お世話になったし!来年もお世話になるし!」
「……バーロ」


  **  **  **


「クリスマスが近いな…」
「んー、サンタ衣装の店員にツリーに電飾!着々と盛り上がってきたなー」
「あのさ…俺さ、お前に期待してる」
「え……?!」
「クリスマス…」

「!?あ、ゆゆゆ指輪とか?!俺、はもう新一のモンだから。ホラその」
「☆のアルペジオしてるお前の事を考えると、すげぇ胸がドキドキする」

「え。何ソレ。アルペジ…アルペッショだよな?ギターとかハープで演奏しろってことか。いいぜ、何の曲?やっぱクリスマスソングとか―」
「あ、知らねーの?なんだよ。つまんねー」
「は?!ああ、曲名?ちょ、今から知るから!大丈夫!期待しててッ」


      ・・・


「色々酷い」
「お前似合いそうじゃん」

「「鼻メガネとか」?」

「大体一人でクリスマスとか何それ?寂しくて死ぬね」
「一人になんかしねーよ、俺はその状態のオメーを見たいんだから。現場は一人でも心配するな、俺がついてる」
「どんなプレイだ」




■■■■■■■

デレと見せ掛けてSる工藤。
元ネタのわからない人は『☆(ほ・し)のアルペジオ』検索を是非。
FANの方には失礼しました。


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