パロってry
2011/11/10 15:09

【となりは工藤くん】


さて今日は退屈な授業をどうやってやり過ごそうかと考えていたときだった。
隣の席に座るそいつが、おもむろに変な箱庭を取り出したのは。
机の真ん中に現れたそれは、机一回り分小さい程度の大きさで、四角形。
中に仕切が幾つか存在しているのが上から覗ける。
よくよく見れば、外周の壁にも四角の穴があるような?

(何だっけ・・・これって)

どこかで見たような箱庭内部のような気がして、ちょっと首を伸ばした。

(あー!)

これはあれだ。
報道番組や住宅番組で家の内部を解説するときに使われる感じの屋根を外した状態のーそう、家屋模型だ。

現在一番後ろの席から前方を見れば、絶賛数学演習中。
何人か指名された生徒が黒板で問題を解いている。
カッコと不等号記号が踊る問題文に、住宅に関連しそうな数値は見あたらない。いや、勝手に例題を実生活数値に合わせようとでもしているのか。
だが、さらに箱庭に登場した物体により、俺の思惑は完全に外れた。

(・・・人形?)

白い、頭と胴体と手足がついている練り消しか紙粘土を適当に固めて作ったような物体。
つまみ上げたそれにーその胴体部位に、隣のそいつは、つまようじを刺した。

(え、なに)

それを箱庭の一部屋へと置く。それから、置いた人形に赤ペンで色を付けていった。
赤く染まっていく、つまようじの周りとその周囲の床部分。
−まるで、人形が刺されて、出血したかのような状態。

(ちょ、気味悪いんですけど!何してんの!?)

俺はそいつの手元から、顔へと視線を移す。
彼は、顎に指を当て、もう片手に持った紙を見ながら、家屋模型を少しずつ動かしている。
しばらくして、一つ頷くと、シュッと糸を取り出した。

(ふんふん、端っこを輪っかにして?)

(ほうほう、もう片方の端を人形の腰あたりに固定?で、)

(はいはい!鍵!小さいけど精巧だな!ああ、うん。つまりー)

閉じている扉の向こうから糸をゆっくりと引いて、そして、窓も扉も閉まっているその部屋の内部に出血してるっぽい人形と鍵が残されたのだ。

(完成!うん、これ密室?!だな!!)

すべてを理解した俺が感心してそいつを見れば、彼は素早い指の動きでメールを打っているところだった。
おいおい授業中だぞ、と思ったが、送信し終えたのか、ぱくっと携帯を閉じた彼の顔ー満足そうな笑顔に、俺は目を奪われた。
いつも机に突っ伏して寝ていた姿しか記憶になかったから、こんな顔をする人間だったのかとちょっと衝撃だったのだ。

(なんだっけ、こいつ)

「つぎ、問い5を黒羽ー」
「え?!あああ、はい、えっと」
「問い6を工藤!」
「はい」

「え?」

隣のそいつがガタンと椅子を引いて席を立ち、教卓へと歩いていく。

(工藤くん、ね。工藤くん)

慌てて俺も、その後に続いた。





【ナンダコレ!】



黒羽くんの方がネタにしやすい気がする。




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