パロってみた。
2011/11/09 23:11

【となりは黒羽くん】


一番後ろの席から前方を見渡せば、黒板には古典の例文が書かれていて、教師が訳を書いていくのを生徒達は追いかけてノートに書いている。
カリカリと鉛筆とノートの擦れる音。誰かのくしゃみ。寝息も混じっているようだ。腹を満たした後の授業だから気持ちはよく解る。かくいう俺も、間延びした眠気を誘う教師の声に、ついウツラウツラとし始めていた。
だが、俺の耳にペラペラと紙が空を切る音が聞こえてきて、意識はハッと引き戻された。

― なんだ?

新たな季節。新たな学校。新たなクラス。
そこで新たに隣の席になった相手の動きがおかしかった。

トランプ。
一人トランプ。
しかも、ひとりスピード。
二つに分けたデッキを使って、一人で器用に二人分手を動かして対戦している。

(右手対左手・・・?)

凄い速さだった。
いやいや人間そうそう右手と左手を完璧に使い分けが出来るものなのか。
適当にカードを開いて、並べて、置いていっているのでは、と。俺はそう思い、そぅっと机の上を覗き込む。

(マジか)

きっちりと勝負が成立していた。

大概俺も、学校には眠りに来ているようなもんだから、他人がどんな授業態度でいても別段それについてどうのこうの言うつもりは無い。

無いが、しかし。

― ぽん

小さな発砲音。
トランプの動きが止まった一瞬後、彼が懐から取りだした玩具の拳銃らしきものから、旗が飛び出した。
何が書いてあるのかと目が行く。

【勝利!右手!やったね!】

書いてあった旗の字に、へぇ・・・と俺は溜息と共に囁いた。

(何だっけコイツ・・・)

俺は、クラスメイトの名前を覚えやすいようにと教室の後ろの壁に張られた座席表を見た。

「ふぅん」

俺の隣の席の奴は黒羽という奴らしい。




【ナニコレ!】

原作は、ひたすら授業中机の上で地味遊ぶ男子から目が離せない女子の話である。



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