運ぶ腕からはみ出ている、脚と腕がゆらゆらと揺れる。
風呂場でも、なにやら検分作業をしていたらしい名探偵がダイニングに戻ってきたのは9時を15分ほど過ぎた時間だった。

タイムオーバー。

風呂上りは喉が渇いているだろうと、コップに牛乳を差し出せば、朝に見せた不信による確認作業もロクにせずに口をつけてくれた。それなりに気を張って疲れていたこともあったのだろう。数分後にはコトンとコップを倒しながら、テーブルに突っ伏していた。

「甘い甘い」

廊下の先、一番奥の白い扉に手を掛ける。
中から鍵が開いている今、そこは何の苦労もなく開いた。

「じゃ、オヤスミー名探偵」

ぐしゃぐしゃのままだったベッドの上に、まぁいいだろうと横たえる。
自室になる部屋の掃除は各自で!と、明日言っておこうと思った。

部屋を出る前に窓辺に行き、カーテンを引く。
窓の鍵は諦めたのか、それとも窓の外の姿に諦めたのか。
白い壁しか見えない窓の向こう。ガラスの出窓も、真白いカーテンと二重になっている白のレースカーテンも、飾りでしかない。



2010/12/04 13:14 !
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