昨夜の探偵の様子を思えば、俺はあくまでも『怪盗』として彼の前で在るべきだ、と思った。 だが、果たしてあの探偵に手加減が必要か?とも思う。 彼は真実を求める者だ。 隠し事も誤魔化しも全部を見抜いて。 相対する人間として、好敵手と評されるのならば、やはり。 「手加減無用だろ、ってな」 おそらく、彼の琴線に掛かったのはオリジナルのいる者への扮装だろう。 本来の人物の在るべき場所を奪って、成りすます者への苛立ち。不快感。怒り。 ―だとしたら? 「やっぱ、コレしかねーよなァ」 髪型は念の為、ヘアスプレーで固めて。 白いシャツ。 緑のネクタイ。 青のブレザー。 帝丹高校の制服を手に取った。 |