昨夜の探偵の様子を思えば、俺はあくまでも『怪盗』として彼の前で在るべきだ、と思った。
だが、果たしてあの探偵に手加減が必要か?とも思う。

彼は真実を求める者だ。
隠し事も誤魔化しも全部を見抜いて。

相対する人間として、好敵手と評されるのならば、やはり。

「手加減無用だろ、ってな」

おそらく、彼の琴線に掛かったのはオリジナルのいる者への扮装だろう。
本来の人物の在るべき場所を奪って、成りすます者への苛立ち。不快感。怒り。

―だとしたら?

「やっぱ、コレしかねーよなァ」

髪型は念の為、ヘアスプレーで固めて。

白いシャツ。
緑のネクタイ。
青のブレザー。

帝丹高校の制服を手に取った。



2011/03/05 08:43 !
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