意識が浮上する。 いや、沈下して我が身に降り着いたのかもしれない。 どちらにしろ曖昧な感覚。 ―…なさい、…くん 夢の切れ端は、悲しい気持ちを幾許か残すものだった。 「…どこだ、ここ」 見慣れない天井に、慌てて身を起こして辺りを見回す。 見慣れない―見たことのない部屋だった。 白い壁、白いカーテン、白い棚にはどれも丁寧に扉がついていて、白い壁と同化するかのようだ。白い机に、これまた白木で出来ているらしい白い椅子。 次に手元を、我が身を見る。 流石に白ずくめではない。 いつもの服だった。 青い短パンにサスペンダー、白いシャツ、赤の蝶ネクタイ型変声機。 しかし、探偵バッジと腕時計は見当たらなかった。 白いシーツの上、白い上掛け。 ―白の壁にカーテン。病院のようにも思えた。 だが、ココはごく普通の…病室ではない部屋にも見える。 「誰かいるかー?」 何となく言ってみた。 答えはない。 ナースコールのボタンもなさそうだし、やはりコレは病院ではないようだ。 大体、病院に用はなかったはず。 昨日だって、『江戸川コナン』がお世話になっている毛利探偵事務所の上階のいつもの布団で眠りに着いた―はずだ。 「じゃ、探偵らしく攻略するしかねーよな」 呟いてベッドから飛び降りた。 ぐるりと見渡したときに気が付いた、部屋唯一の扉の脇にある白い蓋で隠された小さな箱体。扉を開錠するために、なにがしかの操作を必要とする場所によく見受けられる装置に思えた。 |