ごちそうさまと手を合わせる。 行儀がいいのは育ちか、それとも子供化した際の習慣か。 「じゃ、聞くが」 「一日一つ」 「……」 「一つだけ、本当の事を答えてやるよ」 探偵の質問攻めに遭いたい怪盗などいるわけがない。 しかし探偵は許さないだろう。 彼の探求を妨げるなどとは。 だから一つの逃げ道を作っておくことは大事なのだ。 お互いに。 「泥棒は嘘つくのが仕事だったな、そういや」 「怪盗だから、それはちょっと」 少し視線をめぐらせた後に、探偵が、じゃあ、と口を開く。 「たとえば、俺が朝一つ聞く」 「うん」 「それしか、聞かない」 「ああ、なら、その時に聞いた答えは本当だよ」 「ところが、夜にもう一つ聞く」 「すると、朝か夜のどちらかが嘘かもしれねーな?」 「どのみち、最初の…質問一つにしか、マトモに答える気は無いってか」 「そう言っただろ」 「あ、今ので今日の分終わりな!」 へ?と間抜けた顔と声。 ザマーミロと心の中で舌をだす。 直ぐに少年の顔が怒りで真っ赤になった。 |