ごちそうさまと手を合わせる。
行儀がいいのは育ちか、それとも子供化した際の習慣か。

「じゃ、聞くが」
「一日一つ」
「……」
「一つだけ、本当の事を答えてやるよ」

探偵の質問攻めに遭いたい怪盗などいるわけがない。
しかし探偵は許さないだろう。
彼の探求を妨げるなどとは。
だから一つの逃げ道を作っておくことは大事なのだ。
お互いに。

「泥棒は嘘つくのが仕事だったな、そういや」
「怪盗だから、それはちょっと」

少し視線をめぐらせた後に、探偵が、じゃあ、と口を開く。

「たとえば、俺が朝一つ聞く」
「うん」
「それしか、聞かない」
「ああ、なら、その時に聞いた答えは本当だよ」
「ところが、夜にもう一つ聞く」
「すると、朝か夜のどちらかが嘘かもしれねーな?」
「どのみち、最初の…質問一つにしか、マトモに答える気は無いってか」
「そう言っただろ」

「あ、今ので今日の分終わりな!」

へ?と間抜けた顔と声。
ザマーミロと心の中で舌をだす。
直ぐに少年の顔が怒りで真っ赤になった。




2010/12/03 00:21 !
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