そんな風にはなりたくないって



あれから、俺の脳裏には土方さんと一緒にいた旦那がいた。
お互い楽しそうで、俺が入る隙なんて、ない。
あの時、叶わないと悟った。
諦めるべきなんだと。
だけど、忘れることは出来なくて。
忘れようとすればするほど、旦那の顔を思い出してしまう。
悶々と考えたところで、何も変わりはしないのに・・・。


・・・・・寝るか。


寝てしまえば、そのときくらいは無の状態になれるだろう。
そう考えた俺は、早々と布団に潜り込む。そして、無理矢理目を閉じた。
暫くして襲ってきた睡魔に、俺は素直に身を委ねる。
旦那のいない世界をもとめて・・・。



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(なんだ、ここ・・・?)



寝ていた筈の俺は、何故か暗い路地裏に立っていた。
見渡す限り黒い闇に包まれている。
俺は、ワケが分からないままただ歩いていた。




暫く歩いていると、遠くに微かな光が見えてきた。
やっと路地裏から出られる。
そう思った俺は、足を速めた。
段々大きくなる光。
それに期待を込めていた俺は、あることに気付いた。
今光ってるあれは、出口なんかじゃない。

俺が一番愛してる人

旦那だ・・・・・

途端、俺の頭の中で警鐘が鳴り響いた。
近づいては駄目だ。
本能が俺にそう言ってる。
それでも俺は、足を止めることが出来なかった。
囚われたかのように、ただ旦那を目指して進む。
そして、絶句した。


旦那が、土方さんによがっている・・・


「土方ぁ・・・っ好きっんぁ!あぁ・・・」


顔を赤く染め、潤んだ瞳。
その瞳には俺が映ることはなくて。
目の前の二人は、求め合い、愛を囁き続けた。

・・・・あぁ、なんて残酷なんだろう。

俺に気づくことのない二人をよそに、力が抜けたように座り込む。










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