無理ってわかってるけど




何度、振り返っただろうか。
もしかしたら、旦那が後から追いかけてきてくれるんじゃないかって、そんな甘いことを考えながら。
でも、当然振り返った先に旦那の姿は無くて、虚しい気持ちは増すばかり。
こんな気持ちになるくらいなら、旦那を好きになんてなるんじゃなかった。


「やっぱり、旦那なんか嫌いでさァ」


いつかのように自分に言い聞かせるために呟く。


「俺は沖田くんのこと好きだけどね」


「!?」


突然聞こえた声に驚いた。
目の前には、いつの間にか旦那の姿が。


「・・・・・俺は、嫌いでさァ」

「うん、今聞いた」

「土方さんとくっついてる癖に、俺なんかを構う旦那が嫌いでさァ」

「ちょっと待って」


何故かストップをかけられ、俺は眉を寄せた。


「誰と誰がくっついてるって?」

「・・・・・旦那と土方さん」

「それってどっちがネコ?」

「旦那」


俺が答えた途端、旦那は大きく溜め息を吐いた。
それに苛立ちを隠せないでいると、


「・・・・・確かに、土方くんには告白されました」


「・・・・・・・・」


ほら、ね。
んで、ハッピーエンドなんだろィ?
だったらここにいる理由なんかねぇじゃねぇか。
俺がさらに深く皺を作ると、


「人の話は最後まで聞きなさい」


と、言われ、仕方なく大人しく聞くことにする。


「告白はされたけどね、俺、好きじゃない奴に足開けるほど尻軽じゃないから」

「は?」

「つまり、断ったってこと」

「なん、で」


予想もしなかった返答に動揺が隠せない。
すると旦那は、優しく微笑んだ。


「沖田くんが、好きだから」

「・・・・・・それは、どういう意味で」

「もちろんloveで」


即答され、俺はなんだか力が抜けてしまった。
そんな俺に気付いたのか、旦那は俺を支えるように抱き締めた。
それが気に食わなくて、下からキスを仕掛ける。


「んぅ・・・っ」


しばらくして解放してやると、旦那は


「俺まで立てなくなるから勘弁」


と、苦笑した。


「そんときは俺がお姫様だっこでもしてやりまさァ」

「やめて。絵面的に堪えられない。ていうか沖田くんだって立てないじゃん」

「俺はもう平気でさァ」








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