幼い頃からずっとずっと考えてた



いきなり黙りこくった俺に、2人は揃って此方をみた。


「沖田くん・・・?何かあった?」


そんな旦那の声に、目が熱くなるのを感じた。
だけど、こんなところで泣くわけにもいかない。
必死で堪える。


「何にもありやせんよ。」


今、いつも通りに出来てる自信がない。
みっともない顔してないだろうか。
早く、帰らなければ。
これ以上この2人と一緒にいたら、耐えきれない。
それこそみっともなく、泣き顔をさらしてしまう。
何より、旦那が土方さんの隣にいるのを見ていたくなかった。


「じゃあ俺はこの辺で。せいぜい甘味を土方さんの犬の餌の餌食にしないように頑張ってくだせェ」


そういうなり俺は踵を返した。
そのとき、


「待て!!」


俺を呼び止めたのは、


「土方さん・・・」


そう。大嫌いなあの人だった。



「・・・なんですかィ」



俺は、努めて低い声で聞いた。
だけど、次の瞬間俺は驚くことになる。


「何に悩んでんだか知らねェが、無茶すんなよ」


まさにアンタが原因だというのに。
土方さんの不器用な優しさは、何故かあたたかく響いた。
昔からそうだ。
土方さんは乱暴なくせに人一倍周りを気遣う。
だから・・・、だから憎みきれないのだ。アンタが最低な男だったら思いきり憎んだのに。


「・・・悩んでなんかないでさァ。人の心配なんかしてるとハゲになりやすぜ」

「あぁ、そうかよ」


珍しくつかみかかってこない土方さんはきっと俺の嘘を見透かしている。
原因こそは分かってないとは思うが、こういう時土方さんは妙に鋭い。

俺は、今度こそ2人から離れる為に歩き始めた。
結局土方さんには勝てない。

胸が苦しい。
柄じゃないが今すぐにでも泣き出してしまいそうだ。
俺をこんな風にしたのは紛れもなく旦那だ。
旦那を想う気持ちがそうさせている。
帰り道、自嘲するように笑みを浮かべ、歩いた。













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