変な顔しないで、笑顔を見せて





「じゃ、俺はこれで。死に損ないはさっさと仕事にかえりまさァ」


そう言った沖田くんの顔は、酷く絶望していることを容易く教えてくれた。
くるりと身を翻したその姿は、悲しみに満ちていて、引き留めようと腕を伸ばす。
が、何者かによって腕を捕まれ阻止されてしまう。
その先を見るとそこには眉間に皺を寄せた土方くんがいた。


「・・・・行くな」


絞り出すようにして口からでたその言葉に思わず切なくなる。
土方くんの気持ちには、気づいてた。
俺はそこまで鈍くはないし、あれだけ熱い視線を送られれば誰だって気付くだろう。だけど、知らない振りをした。
俺は、沖田くんが好きだから。
俺の言動に一喜一憂する土方くんに胸は痛むが、それでも俺はその気持ちに答えることはできない。
だけど、土方くんという存在を失いたくなかった。
土方くんとの口喧嘩はそれなりに楽しかったし、気が合うところも多い。
土方くんとそうやって過ごす時間が心地よいものになっていた。

恋人にはなれないけど、
友達でいてほしい―――・・・

それは、俺の我が侭。
そんな我が侭が今、土方くんを苦しめようとする。


「万事屋・・・・・俺は」


ああ、


「お前が好きだ」


これは全て


「だから、総悟の所には行くな・・・」


俺が招きだした結果。


「土方くん・・・・・、ごめん」


土方の顔を見るのが怖くて、ただ俯いた。
だけど、


「そんな顔すんじゃねぇ」


という土方くんの言葉と共に、俺は無理矢理上を向かされた。
両の頬には土方くんの手の感触。
必然的に土方くんと目が会う。


「わかってたさ、俺がふられることくらい」


土方くんの言葉に目を丸くする。


「お前が俺の気持ちに気づいてるのに何も言わないことも、俺に突っかかってくるわりには総悟のことばっかみてることも」

「・・・・っ」

「それでも何も言わなかったのは、この関係を失いたくなかったから・・・。坂田銀時という存在と、繋がっていたかったからだ」

「え・・・・」


俺は、更に驚いた。
土方くんが俺と同じことを考えてるなんて思ってもみなかったからだ。


「俺と、同じ・・・・」


そう呟いた俺に、土方くんはクスッと笑った。










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