全部お前の所為だ





泣きそう?俺が?


「そんな面白くない冗談抜かしてると、殺しやすよ」


俺がそう言うと、


「冗談じゃねぇよ。ほら」


と、俺の顔に向かって手が伸びてきた。
それを咄嗟に避ける。


「触んないで下せェ」


心のなかを黒いものが支配していく。


「勝者気取って負け犬を慰めにでも来たんですかィ」


そんな心配そうな顔をして俺を見るな。


「俺が今、こうなってるのは誰の所為だと思ってるんですかィ」


全部、全部、


「アンタの所為だってのに・・・!」



たまらず、俺は走り出した。
土方さんの呼び止める声が聞こえたが、止まらい。
いや、止められなかったんだ。
ひたすら町を走り抜ける。

分かってた。


土方さんが本気で俺を心配してたことくらい。


でも、抑えられなかったんだ。


楽しそうにしてる二人を想像して吐き気がしたんだ。


雨に流す筈だった俺の気持ちは、どうやらとんでもない方へ曲がってしまいそうだ。
だってほら、こんなにも死にたいと思っている自分がいる。


旦那に選んでもらえない自分なんか、消えてしまえばいい。


そしたら少しは俺のことを気にかけてもらえるだろうか。


でもどうせ、旦那は土方さんのもの。
少し気にかけてもらったところで、直ぐに俺のことなんか忘れてしまうだろう。


あ、そうか。


だったら忘れないように、目の前で消えてしまえばいいんだ。
目の前で、愛を囁きながら消えてやる。
そしたら嫌でも忘れられないでしょう・・・?


俺は走っていた足を止めた。
向かうは、万事屋。
愛しいあの人のもとへ。


「今、いきやす。旦那・・・・・」



















- 2 -


[*前] | [次#]

back

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -