※涙なみだ涙の続き


わからない。
何がって・・・沖田と水族館に行ったときのことだよ。
何でああなった。

あの時、沖田からの告白に頷いたことを後悔してるわけではない。
沖田の涙に何かを感じたのは確かだ。
胸が締め付けられるような、そんな痛みさえあった。
でもそれは、沖田を好きだっていうことに繋がるのだろうか。
すごく今さらだとは思うが、そう考えずにはいられなかった。


「ってことで高杉くん」

「知らねぇ」

「まだ何も言ってねぇよ!!」


考えても分からなかった俺は、高杉のところへ来ている。
昔から、分からないことがあればなんでも高杉に聞いている。
幼なじみ故に、致し方ない。
まあ、高杉がなんだかんだ言って面倒見がいいってのもあるんだけど。


「お前って意外とお人好しだよな」

「それはお前にだけだぞ、銀時」

「あ、ヅラ」


突然現れたヅラは、お決まり文句「ヅラじゃない。桂だ!」を言いながら俺の隣に座った。
こいつも幼なじみの一人だ。


「銀時、いいか。高杉の優しさには全て下心と言うものがあってだな。隙有らば銀時の貞操をねら「黙れハゲ」

「ハゲじゃない、ヅラだ!あ、間違えた。桂だ!」


喧嘩が絶えないこの二人は、実は仲がいいのだろう。
現にヅラが来ても、暴言は言えど追い出すことはしない。


「して、銀時。何か相談したいことがあったのではないか?」


逸れかけていた話題を意外にもヅラが直し、話は再開した。


「そうなんだよ。実はさぁ」


俺は、水族館に行ったときのことを洗いざらい二人に話した。
正直小っ恥ずかしかったが、それはしょうがない。目を瞑ることにする。
俺が話している間、高杉の機嫌が悪くなっていったのは気のせいだろうか。
暫くして話終えた俺はチラッと高杉を見た。
やっぱり機嫌が悪いようだが、ここは俺の疑問を優先させてもらう。
悪ィな、高杉。


「・・・・で、銀時は何を聞きたいのだ」

「俺の気持ち」

「そんなもんはてめえで決めるもんだろうよ。俺たちが決めることじゃねぇ」


高杉が言ってることは最もなのだが、考えた上で分からなかったのだ。
高杉ぃと泣きついたらチッと舌打ちされた。
これは「仕方ねぇな、付き合ってやるよ」のサインだ。
やっぱり高杉はお人好しだな。

「・・・俺の気持ちって具体的に何を聞きてぇんだ」

「沖田をどう思ってるか」

「ますます俺たちが決めることじゃねぇじゃねぇか」


はあ、とため息を吐かれる。


「そんなこと言ったってよぉ」

「銀時、沖田はどういう人物なのか、説明してくれるか」

「え、ヅラも知ってるだろ」

「いいから」


ヅラの不可解な言葉に疑問を持ちながら、俺は口を開いた。
沖田はどんな奴、か・・・・


「ドSで、めちゃくちゃ悪魔で、油断してたら押し倒してくるし、・・・どうしようもなく、めんどくせぇやつ」


思ったことをそのまま言う。
するとヅラがほんのり微笑んだ。
高杉はこれだから鈍い奴は、とぶつくさ文句を言っていた。
俺は意味がわからなくて首を傾げる。
すると、ヅラが口を開いた。


「銀時、答えは出てるじゃないか」

「は?」


どういうことだよ。
そう聞くと、今度は高杉が口を開く。


「今の、どうしようもなくめんどくせぇやつっての。そんなところも好きだって聞こえたぞ」

「心なしか、微笑んでもいたぞ」


二人の言葉に衝撃が走る。
ってことは・・・・俺、


「沖田が、好き・・・?」


ポツリと溢した言葉が、やけに素直に胸のなかに落ちた。
さっきまであんなに疑問だったのに。


「・・・サンキューな」


そう言うと、


「なんだ、珍しく素直ではないか」

「明日槍でも降るんじゃねぇ?」


なんて失礼なことを言いながら二人は笑った。
あ、そうだ。


「高杉、後でコーヒー奢ってやるよ」

「は?何でだ」

「俺が水族館のこと話てた辺りから機嫌悪かったろ?理由はわかんねぇが、お礼と機嫌直しってことで」


ニィっと笑えば、高杉はまたもため息を吐いた。


「ため息ばっかついてると幸せ逃げるぞ」

「てめえが鈍いせいだ」


キッと睨まれるが俺からしちゃあ意味がわからない行動だからとりあえず無視した。
それよりも今は


「沖田に会いに行ってくる」


俺はガタンと立ち上がって、教室を飛び出した。
あぁ、足取りが軽い。



End



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上野真知様へ


お待たせしました・・・!
涙なみだ涙の続きでございます。
銀さんの気持ちがはっきりする場面です。わからないわからないと言っている銀さんだけど、実は自覚してないだけでずっと総悟のことが好きだったらいいなと思って書きました。

総悟が出てこなくてすいません(汗)
あと高→銀要素も・・・。
今回、ヅラはお母さん的な感じです(笑)

こんなので良かったら貰ってやってくださいな。


2012.02.07 華音



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