自業自得、なんて  



※現パロ



家に帰り、部屋の電気をつける。
誰もいないのにはもう慣れてしまった。
・・・いや、慣れようとしていただけか。
実際は慣れるどころか益々物足りなさを感じている。
毎回出迎えてくれていた銀色は、もういない。


『おかえり、土方』

『今日もお疲れさま』

『メシにする?風呂にする?それとも・・・俺?なんつって』

『ばっ、ばか!!今のは冗談だ!!』


毎回飽きずに交わしていた言葉も、もう随分と聞いていない。
最後に聞いたのは、



『土方、大好き。でも、バイバイ』



これだけだった。
全て自分のせい。
アイツは何があっても自分から離れない、なんて勝手に思い込んで、アイツに寂しい思いを何度もさせちまった。
挙句違う女に手を出して、それでもアイツは笑って出迎えてくれて。
完全に調子に乗っていた。
やがてアイツは塞ぎ込むようになり、ついに違う男にかっさらわれた。


『好きなら、なんでっ・・・』

『辛いんだ。好きだからこそ。でも、高杉は俺に優しくしてくれるから。俺はアイツと幸せになることを選ぶ』

『ぎんとき・・・っ』

『もう、手遅れだよ』


失ってから気づくなんてバカだ。
こんなにも体が銀色を欲している。
この家にいると、頭の中が銀色でいっぱいになる。
もう、全て手放してしまおうか。
銀色がいないのなら、俺が生きる意味なんてない。
ははっ。ざまぁねぇな。
ふらりと立ち上がり、目についた刃物を手にとる。
刃物が銀色に光り、こんなときですらアイツを思い出す。
こんなときだからこそ、か?
まぁ、そんなことはどうでもいい。
瞼を閉じて刃物を滑らせる。


「土方・・・・!?」


あぁ、最後までお前は俺を惑わすんだな。
ふっと笑って、震える手を床に置く。
最後の最後でやっぱ生きてぇ、なんて虫がよすぎるだろ。


「土方!!!お前何やって・・・!」


しかも幻聴まで聞こえるなんて俺も末期だな。


「銀時・・・・愛してる」

「土方ぁ!!!おれっ俺も・・・!!」

「ごめ・・・な、いま、ま・・・で」



ドクドクと流れる血。
必死で何かを叫んでる愛しい声。
もう、何が現実で何が非現実かなんてわからない。
そうだなぁ、来世はこんな風にならないように努力しないとな。
今度こそ銀時と幸せになるんだ。



End





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少し最後の場面に補足をつけます。

最後に銀さんは土方さんのところに本当に戻ってきました。
高杉のところで甘やかしてもらったけど、それでも土方さんが好きな気持が消えなくて、高杉に諭されるんです。
きっと高杉は冷たいことを言って銀さんを土方さんのところに行かせたに違いありません。
それも全部分かった上で、銀さんは土方さんのところへ行きました。
そして、懐かしい部屋に足を踏み入れたら土方さんが目の前で自害している光景。
ああ、せっかく、せっかく・・・!なんて銀さんは土方さんを抱き寄せながら、後悔します。
そして土方さんはと言えば、全て幻だと思っているわけですから、ますます自分をあざけります。
それでも2人が思っていることは一緒でした。

「来世では幸せに」

そんな2人に、来世はきっと幸せが訪れるんだろうなっていう私の思いも詰まってます。

わかりづらくてすいません。



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