鼠狩りと瞬きの会合

 



手酷く扱われるのは日常

 (寧ろ最近が非日常)


貢がないと誰も愛してくれないのかな

 (それは本物じゃなくて)


僕が出来るのは君を待つことだけ

 (どれだけ傷付いたとしても)














「お願いだよ、鴉!これを幹部衆に廻して!」

「っ、何故ですか!?回状は破門状と同じなのですぞ!」


一度殴られた頬が痛い。
でも、それよりも。
ぼくの代わりに蹴られていた坂本くんが、心配で。


「…聞いたぞリクオ。こっちにこい」

「っ話してる暇なんか無いんだ!早く」

「馬鹿者め。こんなもの、通じると思うか」


破かれた回状は、床に落ちて。
じいちゃんの部屋に連れていかれた。
話しをしていると、猫の妖怪だろうか。


「初めやして。ワシは化猫組組長、良太猫と言いやす。…1番街の、元締をやってるもんです」

「…え…?」

「実は最近になって、鼠どもが場を奪い…好き勝手にしておりやす」


総大将が来るまで、そして来てからも。
あの場を纏めているのは化猫組に相違なくて。
博徒には博徒の規範が有る。

ワシらも奴良組の代紋に傷がつかねえよう場を納めてきたつもりです。


「っ、あいつらは!見た目華やかできらびやかな場所で、小娘を誘い込み欲望のままに貪り食ってるんだ!」

「…っ…!」

「だから、若、どうか…あの街を救ってくだせぇ!」


彼の言うことが本当なら。
ぼくは、坂本くんに酷いことをしたかもしれない。
でも、ぼくは助けることが出来なくて。
こうして回状を廻すしか、助けられなくて。

ねぇ坂本くん、“よる”って誰のことかな。
その人を呼べば帰ってくるのかな。


「……ぼ、くは…」

「リクオ…テメエのことは、テメエで落とし前付けたらんかぃ!!」

「っ、じい、ちゃん」

「旧鼠組なぁ。むかぁし、居た気はするけどな。あまりにも知恵のねえ奴らだった。…たしか早々に破門したはずだがなぁ」

「だ、けど…だけどぼくには…!!」






ざぁ、と葉桜の花びらが舞って。






『…んだよ、万葉まで巻き込みやがって…』

「っ、きみは…だれ……」

『万葉はオレのモンだ…お前にも渡さねえ』

「……かずは…?」

『お前も、もう知ってるはずだぜ?…万葉を、妖怪を守れることを…』




 …さぁ、鼠狩りの時間だぜ―








 ⇒§




 

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