「怖いんだ」
眉をひそめてエヌが言う。
ねぇ、何がそんなに怖いの?
キミは、いつも分けが分からないな。
「怖いんだ」
君がいつか僕を忘れてしまいそうでこわいんだ。
キミの中で僕はどんな風に映っている?
思い出になんかなりたくない。
色褪せていくモノではいけないんだ。
写真ではいけない
映像ではいけない
音声ではいけない
じゃあ、何だといいんだろうか。
「…ああ、怖い」
「簡単じゃないか」
ずっと、一緒に居ればいいんだよ。
答えは単純明快。
さぁ、手を繋ごう。
「キミは必ず嘘吐きになる」
絶対に。
それと、デントの手は温かいな と思った。
セピア色褪せる
20110309