主♂→←ギマ


今日はギーマがめずらしく休日で、トウヤは彼の家を訪ねていた。一人暮らしにしては広いが、数人で住むには少し狭い家。ギーマの座る大きなソファーにトウヤも腰掛けてギーマをみる。電気も点けず、薄暗い部屋でタバコの煙を吐きながら彼は足をくんでトウヤにはまったく興味がわかない本を読んでいる。

でもあなたが興味があるモノはボクも興味があるフリをする。興味をもとうと努力してみる。

近づきたいから。
ギーマさんと同じコトを感じてみたい、から。

「ボクにも後で、読ませてください。」

「ん、いいよ。」

本当は私、本になんて集中してないんだぜ、読むフリ。
いつもキミにあまり興味はないフリをしている。最近、キミの前ではいつも"フリ"

でも、本当は…

違う。

ねぇ、キミは誰と赤い糸で繋がっているんだい?

キミが住んでいた町でキミはどんな恋愛をしたの?

キミの好みの女の子ってどんなこ?

キミの初恋ってどんなモノだった?

どんなキモチになった?

…知りたい、な。


こんなコト、聞けるわけもなければ聞くきもない。
見えないモノに嫉妬してる。
バカみたいだ。自分の中のドロドロしてむず痒くてどうしようもないものが溢れてくる。
気持ち悪い

キミの一番になりたい。

「そこにあるお菓子、食べていいよ」

「あ、はい。ありがとうございます」

ギーマさん、あなたはどんな家庭で育ってどんな学生生活を送ってどんな友達と過ごしてどうやってオトナになっていったんですか?
どんなオトナの女性とどんな恋をしてどんなキスをしてどんなセックスをしたの?

知りたい、

知りたい、

教えてください。

ねぇ大好き、

あなたが大好き

あなたの一番になりたい。

「…ダ、イス…キ」


ギーマさんは目を見開いてボクをみた。

「…ダイスキ、ギーマさん」


彼の手にあるタバコは今にも灰が落ちそうだった。




アナタの一番
2011/02/12
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