「ボクは何も聞こえない。」

両手で耳を塞ぐ。目も閉じる。もう大丈夫。
たったコレだけのことで、世界とボクは距離を置くことができる。なに、今まで気づきもしなかったが、ボクは元から狭い世界で生きてきたのだ。
もう、取り返しは付かないのだろうか。普通の生き方が分からない。

毎日、まるで壊れたテープレコーダーのように同じ言葉を聴かされて。それを真に受けて信じたその人は主犯者。

これは一体何なんだろうか。

アイデンティティなんて確立どころか大崩壊のまっただなか。潰れまいと流されまいと、今日を生きている。僕は頭が幼いから、完全に崩壊した時は、どうするか、どうなるか、知らない。

正義のヒーローはいるのかな。
どこにいるんだろうか。
ボクが黒幕であったなら、
トウヤくん、キミが正義のヒーローなんだろうか。
おかしいな、正義と信じた自分は悪党集団の王様であっただなんて。

ああ、真っ暗で深い、穴に落ちたような感覚。こんなの、上から誰かが助けてくれなきゃ出られないよ。すると、光が差し込んできたから上をみると、キミが手を差し伸べていた。

「やっぱりキミは正義のヒーローなんだね。」

トウヤは満面の笑みになる。

「なにそれ、カッコいい!」


スーパーマン
20110302
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