早朝、眠っていたトウヤは目覚ましの音に起こされて、重たい体をゆっくりと動かし、閉めきられた部屋の窓のカーテンに手をのばす。

(…あ、雨だ。)

どおりでいつもより薄暗いわけだ。こんなとき、太陽ってありがたいななんて思う。1日の始まりに薄ぐらい空なんて、なんだかな…。テンションがた落ち。さて、こんな日は何をしようかな。寝ぼけた頭で考える。

(ギーマさん、今日あいてるかな…)

トウヤはすぐ携帯電話に飛びついた。しかし、すぐ携帯電話を放り投げて頭を抱えこんだ。トウヤは、勝手な自分ルールを作っていた。それは、いつもいつもトウヤからの連絡にギーマが応じてくれる。でも、ギーマからの連絡は一度もない。

これって、向こうにしたら、ボクとは別に会いたいわけでもないし会いたくないわけでもないって、コト?

なんだか、惨めというか恥ずかしいというか悲しいというか。朝も昼も夜もあなたのコトを考えているんですよーなんて、頭の中で呟いてみたら余計恥ずかしくなった。

トウヤなりに試行錯誤して、1ヵ月間、ギーマに連絡をせず連絡をまつというコトにしたのだ。

(声きいたの、何日前だっけ)

いや、何週間前、だ。
連絡、全然着やしない。きた、と思って、着信音に乗せてブルーに点滅している携帯を開いたらメルマガでしたなんてことがほとんどで。そろそろ着信音が嫌になってきた。変えようかな。

トウヤは窓ごしに降る雨を見て思う。もしかしたら、彼は大人だから、自分の我が儘をきいてくれていただけで、本当は…。マイナス思考になってきた。これはいけない。
雨がシトシト泣いている。
雨、嫌いって言ったけど撤回。トウヤの目から涙がひとつ伝う、すると沢山零れ落ちてきて、雨もいっそう強さを増した。


何かの音に目を覚ます。一眠りしていた。多分、泣いたからだ。そして、何かの音は携帯の着信音だった。メールの着信音ではなく、電話の着信音で。

「…もしもし、トウヤですが。」

「…私、ギーマだけど。」

「お久しぶりです。」

「あぁ、久しぶり。最近連絡なかったけど、えーと…元気にしてるかな、と思っ「要件はなんですか?」

彼が喉を鳴らす。

「…ああ、今日、…家にこないかい。」

「…行くにきまってるじゃないですか。」

嬉しくて心臓が破裂しそうだった。

雨はあがっていた。


着信音
2010/02/16
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