※捏造



小学校四年生の初夏、速水はうさぎになった。


俺は幼い頃から速水と仲が良かった。でも人と接するのがわりかし得意な俺と比べて速水はにはあまり友達がいない。だから俺はそんなアイツを放って置けなくて、何事も他に友達より速水を優先していた
だから俺は、自分が飼育委員に推薦された時に速水を誘ったんだ。
高学年になると委員会活動がはじまる。クラスメイトから推薦を受けた時は断わろうと思ったけれど、クラスから二人選出する委員だったから速水と出来る。そんな理由で委員会を引き受けた。
俺と速水はうさぎ小屋を任された。とはいっても、この学校にうさぎは一羽しかいない。だから、二人で大事に育てようと約束したんだ

明日から夏休み。
委員会の仕事にも慣れてきた時期に、事は起こった

俺は毎日速水と学校に行っていた。でもその日、俺は夏休み前最後の当番だった。夏休みにの間は上級生が世話をするから、うさぎに会えるのは今日が最後
だから出来るだけ長くうさぎと居たくて、速水の家に電話を入れてから一人で先に登校した


その日の放課後、速水は俺を置いて飼育小屋に向かった


そして、小屋の近くにあった大きな石を叩き付けて、うさぎを殺した


それからの事は、先生や生徒達が騒いでた事以外良く覚えてない
でも、速水の泣き腫らした顔と死んだうさぎを抱えて血塗れになった姿はよく覚えてる。何を言っていたかは忘れちゃったけど。

きっと速水は一人になるのが寂しかったんだ。俺が一人で学校に行っちゃったから、うさぎに俺をとられたって思っちゃったんだろう。
そんな心配しなくても、俺が速水を独りぼっちなんかにするわけないのに。

俺は速水の事すっごい大事だよ?
だから、もうこんな事しないでね。
そう、言った。



中学生になって、俺と速水はサッカー部に入った。
俺はなんだか面白そうだから入り、渋った速水を半ば無理矢理誘った。でも速水って足速いし運動神経も悪くないし、出来ない訳じゃないと思うんだよね

案の定、俺達は一年にしてファーストチームに入れる程に成長した。
そこで、同じ一年でファーストチームの倉間と友達になる事が出来た。彼はよく冷たい態度をとるけれど、根はすっごく優しいヤツ。俺や速水のことをさりげなく心配してくれたりする。だから俺は勿論、速水も仲良くなれた
倉間だけクラスが違ったけれど放課後は三人で帰ったし、休日に遊んだりもした。
速水はとても楽しそう。それを見ているだけで、俺は嬉しい

ある日の昼休み。速水は俺に、先に弁当を食べていてと言って教室を出ていった
いつも一緒に食べるのに。不思議に思った俺はこっそり速水について行く
購買の前で止まった速水。ちらりと覗き込むと、そこには倉間がいた
おれは、はしってにげだした。


その日の放課後、俺は速水を置いて、倉間と一緒に部室に向かった
俺は倉間の後から部室に入る
倉間の名を呼んだら、彼はなんだよ?と首を傾げる。俺は無言で彼に近付く。

そして、さっき拾っておいた部室の近くにあった大きな石を、倉間に向けて、叩き付けた

持ち前の反射神経で石を避けた倉間
なにすんだ!と叫ぶ彼の襟首を素早く掴み、窓に後頭部を打ち付ける
何度も繰り返すうちに窓は割れ、倉間の頭からは血が流れたが、そんなことは気にせずに彼の身体を揺さぶり続けた


「浜野君!!」


慌だしく部室に駆け込んで来る声
この声は、速水の

「なにやってんですかっ!?」

俺と倉間の間に割って入って来る速水
倉間を放そうとしない俺を突き飛ばして、よろけた倉間の頭を抱える。速水の制服は真っ赤に染まっていった


「なんで、なんで!もうこんな事しないでって、言ったじゃないですかぁ!!」


速水は、なにをいってるの?

それは、あの時俺が言った言葉じゃん

二人でうさぎを育てようって言って、一緒に育てて、でもうさぎに速水を取られちゃって、くやしくなって、


……あれ?


くやしくなって、俺は一人でうさぎ小屋に行って、


おれは、うさぎを、殺し、た?


しんだうさぎをかかえて、はやみはないた。
ふくがちまみれになって、めをまっかにして
うさぎみたいに、まっかなめで、おれをみて、


『はまのくん、もうこんなことしないで』




「あ、れ?」








ぼくはうさぎ





ひとりにしないで、さびしいの


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