はて。この声たちは。 「…テメーら!デバガメしてんじゃねえ!」 ぷるぷると静かに震えていた湊がついに大噴火。 ありゃりゃ。こりゃ知ーらない。 「わぁ!見つかった!」 「もう!稜が騒ぐから!」 「お前の方が騒がしかったろうが!」 「先輩たち、話してる間に来ちゃいますよ」 弾んだ声の主は美春だろう。 さすが美春。危険性をきちんと判断して、とっとと逃げ出すことに成功したんだろうな。 「待て!お前ら!」 「待てって言われて待つ方がばかなんだって!」 「犬でも逃げるわぁ!」 様々な逃げ文句を手当たり次第に湊に投げて逃げていく人々。 どうなることやら。 彼らを追おうとする湊の胸倉辺りを掴んで、引き寄せた。 「、っ」 驚いた吐息。 まさに下剋上の時。 「いってらっしゃい」 真っ赤になる湊をちょっぴり楽しく思いながら送り出す。 どうしよう、楽しくて堪らない。 恋は甘ずっぱいレモン味。 キスも、甘ずっぱレモン―――なのかもしれない。 fin. beautiful or wonderful |