はて。この声たちは。

「…テメーら!デバガメしてんじゃねえ!」

ぷるぷると静かに震えていた湊がついに大噴火。
ありゃりゃ。こりゃ知ーらない。

「わぁ!見つかった!」

「もう!稜が騒ぐから!」

「お前の方が騒がしかったろうが!」

「先輩たち、話してる間に来ちゃいますよ」

弾んだ声の主は美春だろう。
さすが美春。危険性をきちんと判断して、とっとと逃げ出すことに成功したんだろうな。

「待て!お前ら!」

「待てって言われて待つ方がばかなんだって!」

「犬でも逃げるわぁ!」

様々な逃げ文句を手当たり次第に湊に投げて逃げていく人々。
どうなることやら。

彼らを追おうとする湊の胸倉辺りを掴んで、引き寄せた。

「、っ」

驚いた吐息。
まさに下剋上の時。

「いってらっしゃい」

真っ赤になる湊をちょっぴり楽しく思いながら送り出す。
どうしよう、楽しくて堪らない。



恋は甘ずっぱいレモン味。
キスも、甘ずっぱレモン―――なのかもしれない。





fin.




-38-

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