視線を下に向けて、湊の言葉を待つ。

衣擦れの音。
心拍が早くなるのは否めない。

「え………」

あたしの体が何かに包(くる)まれる。
視線を上げれば、チョコレートブラウンの髪が視界いっぱいに広がっている。

「みな、と?」

呼びかければ、応えるようにあたしを抱き締める腕の力が強くなる。
少し痛いけど、湊の言葉を待つ。

「…遅い」

「は?」

「蜜羽、遅いよ」

「んなっ!?」

「俺がほんとに他の子んとこいったらどうすんのさ。有り得ないけど」

「は?は?」

疑問符が乱舞。
何ヲ言ッテルノカナ?湊クンハ?

「俺よく我慢したよなー。蜜羽ニブイんだからさー、ちょっと強硬手段に出てみた」

ぺろり、とあたしの顔を覗き込んで、赤い舌を悪戯に見せる。
ちょっと待ってよ。

「すきだよ、蜜羽」

はいぃ!?

近づいてくる湊の顔。反射的に目を閉じた。

「……ったく、湊ったらだらしなさすぎよねー。遅すぎだっつの!」

「つか歌憐、なんで俺がここにいなくちゃならねぇんだよ。俺他校生なんだけど、、、」

「うっさいわね!稜!黙ってなさい」

「蜜羽先輩もニブイですよねー」

「美春ちゃん、、、」

「デバガメ根性上等すぎる……」

「よかったな、湊」




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