咄嗟に支えようとした湊を巻き込んで、カウチに転がる。
ちょっ、と待って。この状況って。

「ち、近いっ」

目の前には湊の顔。それは別にいいんだけど。
まるであたしが押し倒されているみたいな状況って。

えぇえぇえええ〜!?

「いいじゃん、話しやすくて」

ニカリと笑う湊に何も言うことはない。というより言えない、と言った方が正しい。

「それで?」

「…ほんとに退いて」

「ちぇー」

口を尖らして、不満を表していながら、湊は存外素直にあたしの上から退いてくれた。

「あのね」

「眉間に皺寄ってる」

「うっ」

上体を元に戻して、カウチに座る。
それから本題に入ろうとしたところで眉間の皺を丁寧に伸ばされた。

「そんなのはいいの!」

「よくない。大事な話だ。そんな怖い顔した蜜羽の話なんて聴かない」

あたしは確かに頑固者で意固地だ。(あれ?このふたつって同じ意味だよね?)
でも、湊もいいとこ勝負な頑固者。

「仕方ないじゃない…」

長年片思い(気づいたのはこの間だが)をしてきた相手がかなりの至近距離にいて、おまけにこれから告白、となれば自然と力が入る。
眉間だけじゃない。肩や腕。拳にまで。




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