やさしい沈黙。
湊といるときは、こんな気持ちにはなれない。

ドキドキと心臓が自然と速くなって。
口から心臓が出てきそうなほどになってしまう。

湊にどう思われているか。何を見ているのか。
そう考えるだけで、沈黙が辛くなってしまうんだ。

それだけ、湊があたしの中でトクベツということ。
どうして気づかなかったんだろう。
どこまで、あたしは鈍いんだろう。

「ねぇ、咲姫ちゃん」

呼びかければ、視線だけで応える。

「あたし、湊がすきなんだ」

「…知っています」

「気づいてたんだ」

「はい。何となく、ですけど」

驚きはない。
歌憐やニブイ古都葉にまでバレてたんだから。

「どこまでも、どこまでもすきなの」

「それが、恋なんじゃないですか?」




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