見回りしてくる、と言って、湊は生徒会室から出て行った。
泪が、自然と零れ落ちる。

どれだけ強がっていても、あたしは弱くて愚かで、、、、
歯痒くて、堪らない。

カラカラ、とおずおずとした動作で扉が開く。
あたしは慌てて目元を拭った。

「あれ?咲姫ちゃん?どうしたの、水無月くんなら、」

「違います。蒼のことじゃ、ないんです」

ちらり、と咲姫ちゃんの綺麗な紫色の瞳があたしの目元へと行く。
やっぱり、バレちゃうか。

バレてもあたしは強がりだから、咲姫ちゃんみたいに素直に打ち明けることは出来ない。
こんな自分が、いやだ。

「水無月くんのことじゃないならナニ?もしかして、水無月くん以外にすきな人でも出来ちゃった?」

「蜜羽せんぱい、」

「もしかして遊一くん?古都葉のことだいすきだからねぇ、手強いよね。…それとも湊、とか?」

「蜜羽先輩…っ」

うるうると潤んだ目があたしを見上げる。

あたしを責めるように。
あたしを止めるように。

「もう、先輩。いいんですよ」

ほろり、と泪が咲姫ちゃんの綺麗な瞳から零れ落ちる。
それでも彼女の目は凛としていて、あたしを真っ直ぐに見つめ続ける。




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