秋特有の風が、あたしの頬を撫でる。
きっと校庭にあるイチョウの木はそろそろ黄色く色づいていくんだろうし、赤ん坊の手といわれるモミジも赤く染まり始めるんだろう。

いつまであたしは、こんな不毛な気持ちを抱き続けるんだろうか。

「…なぁ蜜羽」

静寂が湊の声で破られる。
予想してただけに、辛いなぁ。
大丈夫な、はず、なのに。。。

あなたのせいで、あたしはここまで弱くなってしまった。




沈黙が、再び、その場を占拠する。
永遠にも感じる沈黙の後、あたしはきゅっ、と力を込めて口を開いた。

「………がんばって」

うそ。そんなこと思ってない。
湊がフラレてしまえばいい、って考えてる、あたしは醜い女。
それでも、そんなこと言えない。

嫌われたくない。
醜い、って思われたくない。

どこまでも、あたしは弱虫。
じゃなきゃぁ、ここまで片思いを続けてない。




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