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「ちょっと」

「え?」

つい、と顔を上げると。

「一ノ瀬、狼?」

入学式の後。
ようやく先生達の長ったらしい挨拶も終わり、やっと下校になった時。
目の前には、新入生代表を務めた美青年がいた。

「用事がある」

闇色に近く濃い何とも形容しがたい碧眼がなんの感情を浮かべずあたしを見下ろしていた。
その瞳よりも恐ろしいのが。
周りの嫉妬交じりの視線というのは言うまでもない。

「えっと」

「早く」

そんなこと言われても!
視線が怖いのよ!この視線わかってる!?

さらりと銀髪を靡かせ踵を返してどこかに向かい始める一ノ瀬狼。
せめてどこに行くか伝えてくれないかなぁ。

仕方なく、立ち上がって彼の背を追いかけ始めた。





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