『静かにしてください』

ざわざわと騒がしい空間を何とか沈めようとする教師の声がマイク越しに聞こえるものの、周りの人達は静まる、ということを知っていながらも行う兆しはない。

うるさいなぁ。

ギシっとパイプイスの背凭れが嫌な音を立てた。
さすが中等部からのエスカレーター式で上がってきた人たちは完全な円(サークル)を作り上げている。
あたしはというと。。。

ひとり。

いいもんね!わかってたもん。外部生なんて珍しいし、最初のうちは絶対ひとりになるってわかってたから!

でも。

やっぱり堪(こた)えるよぉ。

『代表による挨拶』

早々に生徒たちを静めようとする努力を放り投げて、先生たちが入学式を進行させる。
あくまで学校内での入学式。
保護者も一応は見に来ることも許されてるけど、もう高校生。
ほとんどの親は来ていないみたい。(うちの両親も同じだ)

『一ノ瀬狼(ろう)』

へぇ。確かこの学年で一番頭のいい人が学年代表で挨拶するんだよね。
どんな人、なのか、な……。

視線を舞台へと上げてあたしの呼吸が止まった。
そこにいたのは。

輝く銀髪に。
モデルのように長い手足。
淡雪のように白い肌は肌荒れなんて無縁モノ。
顎のラインがシャープで。
薄ピンクの形のいい唇。

あの夜の、美青年とも言える男の子だった――。
(ちなみに、あたしの視力は2.0だ)





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