crimson trail
「なぁ、ヴィクトリア。それ、何だ?」
いきなりの従兄の言葉にヴィクトリアはきょとんとした。
「え? 何かあるの?」
「おう。首に赤い痕が」
ばばっとヴィクトリアは首を押える。
その行動にディーファが目を見開いた。
「うそ! ほんとに!?」
その反応になぜかディーファはイラッとした。
自然とその精悍な眉の間にぷくっと皺がいくつか寄った。
「なんだよその反応」
「な、なんでもないっ」
あの時つけられたのだろうか?
その問いが自分の中で荒れ狂う。
数日前、ブライアンに押し倒された時に、チリッと首筋に痛みが走ったのだ。
あのばか―――!!!
何のために、こんなものを……!
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