dazzling
ブライアンに押し倒され、数分が経過した。
気恥ずかしいだとかは思うが彼の澄んだ瞳から目が離せない。
「………」
ただ幸いだったのはここが茂みが覆いかぶさっており人があまり来ない区域だということ。
人通りの多い場所だったら、羞恥で気絶してしまうかもしれない。
「ブライアン?」
気恥ずかしげに視線を彷徨わせていたヴィクトリアはブライアンの名前を呼ぶと、そっと彼を仰ぎ見た。
するとブライアンはやさしげな目で自分を見つめていた。
それがどうしようもなく恥ずかしい…。
穴がなくとも自分で掘って入りたいぐらい。
「ヴィクトリアは後悔してる?」
「え――…」
「俺と婚約したこと」
その問いに肯定も否定も出来なかった。
“そうだ”とも“違う”とも言えなくて、時間ばかりが過ぎていく。
確かに婚約は嫌だけど、
“後悔”というのとは違う気がする。
あぁ、モヤモヤする!
「…………わからない」
そう答えることしか出来なかった。
正直な気持ちを伝えたのだが、その返答が気にくわなかったのか眉を寄せた。
「、っ」
その瞳にびくりと身を竦めた。
まるで蛇に睨まれた蛙状態――。
苛立ちを秘めた目が怖い。
「“わからない”?」
「う…ん、、、だって、そうだとも違うとも言えないじゃない!」
心の中で思っていたことをぶちまけた。
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